大分市のリウマチ・膠原病専門の内科クリニックです。

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リウマチ・膠原病

リウマチ・膠原病の特殊性

.病状は人それぞれ

免疫系は極めて複雑な仕組みであり、様々な細胞や物質が関わっています。リウマチ・膠原病(以下、膠原病)疾患は免疫の異常によって生じますが、どのような免疫異常なのかは患者様ごとで異なります。免疫異常の状態が病気ごとで異なるのはもちろんですが、厳密にはたとえ同じ病気であっても患者様ごとで異なります。そのため、同じ病気でも患者様ごとで病状や治療への反応性は異なります。どの治療(薬)が最適なのかを事前に予測することは現代の保険診療では不可能ですので、治療開始後の経過を見ながら模索しなければならないというのが実状です。

診断は絶対的なものではありません

個々の膠原病疾患(免疫異常のパターン)の関係は、色のグラデーションのように連続性のものだと思っています(図1)。赤・青・黄のような典型的な色ならば診断に悩みませんが、中間の色のような診断(病名)のつけにくい病状のことがあります。とは言え、病名をつけないわけにはいかないので、暫定的な病名をつけるということがあります。また、時間の経過とともに免疫異常が移り変わることで診断が変わることや、別の膠原病が合併してくることもあります。発症後間もないうちは病気が未成熟であるために免疫異常の正確な見定めができず、時間が経つことで初めて診断が可能になる場合もあります。そのため、インターネットなどに記載されている病気の内容と、ご自身の病状とが完全に一致しないということもあるかと存じます。

図1.リウマチ・膠原病疾患間の境界は曖昧である

3.診断は総合的な判断による

膠原病は、高血圧、糖尿病、がん、感染症などのように「Aという検査が陽性だったらBという病気である」というものではありません。膠原病によって生じる症状や検査異常の多くは、他の病気によって生じることもあるものだからです。膠原病らしい所見を有していることに加えて、その他の情報から「膠原病以外の原因ではなさそうだ」と判断できる場合にようやく膠原病の診断に至ります。膠原病以外の原因を除外するために、様々な検査が必要になることがあります。膠原病の診断には血液・尿・X線検査が欠かせませんが、CT、超音波、MRI、PET、生検、培養などが必要になる場合があり、診断をつけるために1週間ほど入院していただくこともあります。

全身疾患である

膠原病の場合、全身の臓器が免疫異常の標的になり得るので、病状次第では生命の危機に瀕することもあります。臓器障害の種類や程度によってはその臓器の専門家との連携が必要になります。

5.クセのある薬を使用する

膠原病診療では多くの場合、ステロイド薬(グルココルチコイド)などの免疫を抑制する薬を使用するので、医師は副作用のリスクに常に気を配らなければなりません。副作用が出ていないかをチェックため、定期的に(少なくとも)血液・尿・X線検査を行う必要があります。また、効果の出ていない薬を無駄に処方し続けることがないよう、その有効性をきちんと評価しなければなりません。たとえ効果が出ていたとしても、用量が適正(病状に見合った治療強度)なのかを継続的に評価する必要があります(図2)。

図2.病気の強さと治療(薬)の強さのバランスが大事

なお、副作用への懸念から、治療(薬の使用)を躊躇される場合があります。お気持ちはとてもよくわかりますが、活動期の膠原病を放置した場合のリスクは薬のリスクを大きく上回ることをご理解いただきたいと思います。治療開始が遅れると、免疫異常が複雑化してますます治療の難易度が上がるという側面もあります。また、治療が遅れて臓器障害が進行してしまうと、たとえそこから治療(病気の活動性の制御)に成功しても後遺症が残ってしまう点にも注意が必要です。

参考図書:
1)前島圭佑著.リウマチ・膠原病になったら最初に読む本 –外来通院学2.0-,日本医学出版,2024
2)前島圭佑著.リウマチ・膠原病患者さんとそのご家族のための外来通院学,日本医学出版,2019

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