リウマチ・膠原病の治療に用いる薬は、以下の4つのカテゴリーに分けられます。
それぞれのカテゴリーの特徴は以下のとおりです。
1.免疫調節薬
免疫抑制作用はありませんが,免疫を「調節」することで作用を発揮します.他の治療薬と比べて良くも悪くもマイルドなイメージです.有効性に個人差がある上,効果発現までに時間がかかります.長ければ数ヶ月かかることもあります.易感染にならない点は使いやすいものの,皮疹や肝障害などの副作用に注意を要します.
2.狭義の免疫抑制薬
「効き方に個人差がある」「効果発現に時間がかかる」という点は免疫調節薬と同じですが,免疫抑制による易感染(感染症が起きやすい状態)のリスクがあります.他の副作用(皮疹,肝障害,腎障害,骨髄抑制, 悪性腫瘍など)にも注意を要します.副作用に注意しながら増量するタイプの薬が多いです.
3.生物学的(バイオ)製剤
免疫に関わる物質や細胞のうちのひとつの働きを,ピンポイントながらも強力に抑える注射薬です.効果には個人差があるものの,即効性のある薬が多いです.易感染やアレルギー反応などの副作用に注意を要します.高額という問題点があります.なお、分子標的薬同士の併用はできません.
3.JAK 阻害薬
狭義の免疫抑制薬と生物学的製剤の特性を併せ持った薬剤だと思っています.易感染やその他の副作用に注意を要します.「効果には個人差がある」「即効性がある」「高額」「生物学的製剤や他のJAK阻害薬との併用ができない」という点は生物学的製剤と同じです.
4.ステロイド薬(グルココルチコイド)
リウマチ・膠原病診療のほとんどの場面で有効性を発揮してくれる,とても頼りになる薬です.即効性も高く,早ければ開始した当日から効果が実感できます.通常は十分量を用いた後に少しずつ減量します.基本薬として長期に使用することもあれば,症状が強くて困ったときなどに応急的に「短期間のみ投与」「受診時に注射で投与」という使い方をすることもあります.ただし,感染症に加え,糖尿病,骨粗鬆症などの独特な(ホルモン過剰症としての)副作用が生じるため,使用量を最小限に留めるように努めます.飲み忘れが許されないタイプの薬なので,常に予備を持ち歩きたいところです.
【主なリウマチ・膠原病治療薬の一覧(分子標的薬以外)】(2024年6月時点)
【主なリウマチ・膠原病治療薬の一覧(分子標的薬)】(2024年6月時点)