1.免疫系が悪さをする病気
膠原病は、本来は身を守るために備わっている免疫系が誤作動し、自分のからだを敵とみなして攻撃する病気です。「(全身性)自己免疫疾患」とも呼ばれます(図1)。
図1.膠原病(自己免疫疾患)のイメージ
先天的(遺伝的)な要因と後天的な(環境)要因が複雑に絡み合って発症します。何かひとつの原因で発症することは稀です。後天的な要因の中には大気汚染などのような「避けようのないもの」だけでなく、喫煙・ストレス・不適切な食習慣・睡眠不足・運動不足のような「避けられるもの」も含まれます。
免疫系は複雑なので誤作動(免疫異常)にも様々なパターンがあり、それにより病気が分かれています(表1,2)。どの膠原病も全身の病気ですが、病気ごとで障害されやすい臓器が異なります。
表1.膠原病の分類(私見)と代表的な病気
表2.主な膠原病疾患とその障害臓器の一覧
2.免疫抑制療法が必要
治療には、暴走する免疫系を抑制する薬剤を用います(図2)。基本薬としてステロイド薬を用いる場合と用いない場合があります。
図2.膠原病治療(免疫抑制療法)のイメージ
まずは十分な治療で病気を押さえ込みます(寛解導入療法)。成功したらその状態を最小限の治療で保てるように薬の調整を試みます(維持療法)。どの薬が有効かを予測することはできないので、治療しながら必要な薬の種類(組み合わせ)と用量を模索します。薬をやめると再燃することが多いのでしばらく継続します。経過がよければ減薬や中止を試みることもあります。
免疫系を抑制すると、感染症などのリスクが高くなります。感染症予防のために表3の内容を確認しておきましょう。病原体の体内への侵入を阻止することが感染症予防の基本です。
表3.感染症予防策
参考図書:
1)前島圭佑著.リウマチ・膠原病になったら最初に読む本 –外来通院学2.0-,日本医学出版,2024
2)前島圭佑著.リウマチ・膠原病患者さんとそのご家族のための外来通院学,日本医学出版,2019