帯状疱疹は、水ぼうそうの原因となる水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が、体の中で再び活動することで起こる病気です。
多くの場合、体の左右どちらか一方に、ピリピリ・チクチクする痛みや違和感が先に現れ、その後に赤い発疹や水ぶくれが出てきます。
早めに治療を始めることが大切で、顔、特に目や耳の周囲に症状がある場合や、発疹が広く広がる場合には、より早い評価が必要です。
リウマチ・膠原病の患者さんでは、病気そのものや治療の影響に加えて、治療薬を減らしたり中止したりした後にも注意が必要になることがあります。
帯状疱疹は、体の中に残ったウイルスが再び活動して起こります
水ぼうそうにかかった後も、VZVは神経節の中に長く潜伏しています。
このウイルスを抑えている免疫の働きは、加齢、病気、治療などさまざまな影響を受けます。強いストレスや睡眠不足と帯状疱疹の発症リスクとの関連を示す研究もあります。
疲労が重なる時期を含め、体調や免疫の働きが変化する中でVZVが再活性化すると、神経に沿って炎症が起こり、その神経が支配する皮膚に痛みや発疹、水ぶくれが現れます。
ただし、「強いストレスがあったから」「寝不足だったから」「疲れていたから」という一つの理由だけで帯状疱疹が起こるわけではありません。複数の要因が重なる中で発症すると考えるのが適切です。
どんな順番で症状が出るのでしょうか
典型的には、皮膚の症状より先に、体の左右どちらか一方に違和感、かゆみ、ヒリヒリ・ピリピリ・チクチクするような痛みが出ます。
その数日後に赤い発疹が現れ、やがて小さな水ぶくれが集まって出てきます。新しい水ぶくれが数日間増えることもあります。
その後、水ぶくれは乾いてかさぶたになり、多くは2〜4週間ほどで皮膚症状が治っていきます。ただし、経過は年齢、病状、免疫の状態などによって異なります。
すべての患者さんがこの順番どおりに進むわけではありませんが、「片側のピリピリした痛みや違和感のあとに、赤みや水ぶくれが出る」という流れは帯状疱疹を疑う大切な手がかりです。
顔、とくに目や耳の周囲に症状があるときは早めに受診してください
帯状疱疹は体のどこにでも起こりますが、できる場所によっては特に注意が必要です。
目の周囲に帯状疱疹が起こると、角膜炎やぶどう膜炎など、視力に関わる合併症が起こることがあります。
耳の周囲では、顔面神経麻痺、難聴、耳鳴り、めまいなどを伴うことがあります。
また、頻度は高くありませんが、髄膜炎や脳炎など中枢神経の合併症を起こすこともあります。
顔、特に目や耳の周囲に痛みや発疹が出た場合は、様子を見すぎず、早めに医療機関を受診してください。
発疹が広い範囲に広がる、高い熱が続く、全身状態が悪いといった場合も、早めの医療評価が必要です。
意識がいつもと違う、強い頭痛が続く、けいれんがあるといった場合は、診療時間外であっても様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください。
皮膚が治ったあとも痛みが残ることがあります―帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹では、発疹が治ったあとも神経の痛みが残ることがあります。これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。
痛みは、焼けるような痛み、針で刺すような痛み、電気が走るような痛みとして感じることがあります。また、衣服が触れる、風が当たるといった軽い刺激だけでも強く痛むことがあります。
痛みが3か月を超えて続き、数か月から年単位で残ることもあります。睡眠や日常生活に大きく影響することがあるため、帯状疱疹では皮膚の発疹だけでなく、その後の神経痛にも注意が必要です。
年齢が高くなるほど帯状疱疹後神経痛のリスクが高くなることが知られています。
治療は「できるだけ早く」が大切です
帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬を使うことが基本です。皮膚症状が出てから、できるだけ早く治療を始めることが大切です。
「数日たってしまったから、もう受診しても意味がない」と自己判断せず、帯状疱疹が疑われる症状に気づいた時点で医療機関へ相談してください。
痛みに対する治療や皮膚の処置も、症状に応じて行われます。重症の場合や、免疫の状態によっては、入院や点滴による治療が必要になることもあります。
当院に通院中の方で、帯状疱疹が疑われる症状が出た場合や、他の医療機関で帯状疱疹と診断された場合は、直接来院する前にお電話でご相談ください。現在の治療内容を確認し、必要な対応をご案内します。
リウマチ・膠原病の治療中だけでなく、薬を減らした後にも注意が必要です
リウマチ・膠原病の患者さんでは、病気そのものや、ステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤、JAK阻害薬などの治療によって、帯状疱疹のリスクが高くなることがあります。
一方で、帯状疱疹は「免疫を抑える薬を使っているときだけ」に起こるわけではありません。
薬を減らしたり中止したりした後にも起こることがあります
院長が行った単施設の後ろ向き研究では、リウマチ性疾患の患者さんで帯状疱疹を発症した20例のうち13例で、発症前3か月以内に免疫を抑える薬の減量または中止がありました。
この研究は、薬を減らしたことが帯状疱疹を直接引き起こすと証明したものではありません。一方で、免疫の働きが回復していく過程が帯状疱疹の発症に関係する可能性を示す結果でした。
治療薬を適切に減量・中止すること自体が悪いわけではありません。主治医の指示で薬を減らした後も、数か月は片側の痛みや違和感、発疹や水ぶくれに気づいたら早めに相談してください。
特に注意する治療薬
治療薬によって帯状疱疹への注意点は異なります。
JAK阻害薬では、帯状疱疹は特に重要な安全性確認項目の一つです。
ステロイド薬、生物学的製剤、その他の免疫抑制薬でも、薬の種類や量、病気の状態、年齢などによって帯状疱疹のリスクは変わります。
「この薬なら必ず帯状疱疹になる」「この薬なら心配ない」と一律に決めることはできません。
帯状疱疹が疑われるとき
帯状疱疹が疑われる、または診断された場合、リウマチ・膠原病の治療薬をそのまま続けるか、一時的に休薬するかは、帯状疱疹の重症度、基礎疾患の状態、使用している薬などを合わせて個別に判断します。
自己判断で治療薬を中止・減量せず、早めに主治医へご相談ください。
一度かかっても、再びかかることがあります
帯状疱疹は、一度かかったら二度とかからない病気ではありません。再発することがあります。
一般の方でも再発はみられ、リウマチ性疾患の患者さんでも再発例が報告されています。
以前に帯状疱疹になったことがある方も、再び片側の痛みや発疹が出た場合には「前にかかったから今回は違う」と決めつけず、早めに相談してください。
帯状疱疹にかかったことがある方でも、条件を満たせば帯状疱疹ワクチンの対象になります。接種の時期や種類は、病気の状態や治療内容も含めて主治医と相談してください。
ワクチンで発症や合併症のリスクを下げることができます
帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症や、帯状疱疹後神経痛などの合併症のリスクを下げます。
ただし、ワクチンを接種すれば100%帯状疱疹にならないという意味ではありません。接種後に帯状疱疹を発症することもあります。
帯状疱疹ワクチンには生ワクチンと組換えワクチンがあり、接種回数、接種方法、効果の持続、副反応、接種できる条件などが異なります。
リウマチ・膠原病の治療中の方では、治療内容によって生ワクチンを接種できない場合があります。現在の病気の状態や使用している薬を確認したうえで、どのワクチンを、いつ接種するかを主治医と相談することが大切です。
定期接種の対象年齢、接種期間、自己負担額などは年度や自治体によって異なります。最新情報は厚生労働省やお住まいの自治体の公式案内をご確認ください。
家族などへの感染にも注意してください
帯状疱疹が、そのまま「帯状疱疹」として他の人にうつるわけではありません。
ただし、水ぶくれの中にはVZVが含まれており、水痘に対する免疫のない人に感染すると、その人が水ぼうそうを発症することがあります。
水ぶくれがすべてかさぶたになるまでは、発疹部分を衣類やガーゼなどで覆い、手洗いを心がけ、発疹にはなるべく直接触れないようにしてください。
特に、水痘への免疫がない妊婦、乳幼児、免疫機能が低下している方が身近にいる場合には、接触に注意し、必要に応じて医療機関へご相談ください。
少し詳しく:発疹が出ないこともあります
VZVが再活性化していても、典型的な発疹が出ないことがあります。これを「無疹性帯状疱疹」と呼ぶことがあります。
ただし、痛みがあるというだけで無疹性帯状疱疹と診断することはできません。
発疹がない場合は通常の帯状疱疹より診断が難しく、ほかの病気を含めた評価が必要です。症状や経過に応じて、必要な場合にはウイルス学的な検査などを組み合わせて判断します。
「発疹がない帯状疱疹もある」という知識は大切ですが、片側の痛みだけを帯状疱疹と自己判断しないでください。
関連ページ
主な参考文献・公的情報
- 日本皮膚科学会 帯状疱疹診療ガイドライン2025
- 厚生労働省 帯状疱疹ワクチン
- Maeshima K. Herpes zoster in the context of immune reconstitution inflammatory syndrome in patients with rheumatic diseases: a single-center retrospective study. Immunol Med. 2024;47(4):247-253.
PMID: 38940440
DOI: 10.1080/25785826.2024.2372869 - Kim Y, Lee W. Increased risk of herpes zoster associated with stress and sleep deprivation: Evidence from Korea Health Panel Survey. J Psychiatr Res. 2025;184:333-339.
PMID: 40086222
DOI: 10.1016/j.jpsychires.2025.03.015 - Zhou J, et al. Zoster sine herpete: a review. Korean J Pain. 2020;33(3):208-215.
PMID: 32606265
DOI: 10.3344/kjp.2020.33.3.208
- 執筆:
- 前島圭佑
- 最終確認:
本ページは一般的な医学情報です。個別の診療については主治医にご相談ください。