最近、ニュースなどで「2025年4月から帯状疱疹ワクチンが定期接種になる」という話を聞いた方も多いかもしれません。帯状疱疹はリウマチ・膠原病の患者様に起きやすい感染症の一つですので、この機会にぜひ理解しておきましょう。
帯状疱疹ってどんな病気?
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルス(正式には「水痘・帯状疱疹ウイルス」)によって起こる皮膚と神経の病気(感染症)です。水ぼうそうにかかったことがある人は、そのウイルスが体内(神経)にひそんでおり、年齢を重ねたり、ストレスや病気などで免疫機能が低下すると、再びウイルスが活動を始めます。50歳以上の方で発症率が高く、80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。
最初はピリピリ・チクチクした痛みや、かゆみ、違和感から始まり、数日後に皮膚に赤い発疹や水ぶくれが帯状に出てきます。その後、水ぶくれが破れて、かさぶたになって治っていきます。胸、背中、顔など体の左右どちらか片側だけに生じることが特徴です。発疹が現れる前から痛みが出るため、腰痛などと勘違いして整形外科を受診することもあります。治った後に長く痛みが残ることがあり、これを「帯状疱疹後神経痛」と呼び、数ヶ月から数年間続くこともあります。
発疹が出ない(痛みだけの)場合もあり、「無疹性帯状疱疹」と呼ばれます。この場合は診断が難しく、他に痛みの原因がないことを確認することで診断を絞り込みます。
帯状疱疹の治療は?
治療は以下の3つが基本です。
- 抗ウイルス薬:発疹が出てからできるだけ早く(72時間以内)服用を開始します。飲み薬が基本ですが、重症の場合は点滴を使うこともあります。
- 痛み止め:痛みをやわらげるために使用します。神経痛に特化した薬剤を用いることもあります。
- スキンケア:発疹部位を清潔に保ち、必要に応じて塗り薬を使います。
リウマチ・膠原病の患者様へお願い
関節リウマチなどの膠原病に対して免疫抑制作用のある薬を使用している場合、免疫機能が低下するため帯状疱疹のリスクが高くなります(実際には免疫抑制作用のある薬を使っていなくても、膠原病そのものがあると帯状疱疹のリスクが高まると考えられています)。そのため、まずは帯状疱疹が起きやすい状態にあることを認識しておきましょう。そして、体のどこか片側に皮膚の痛みを感じたときには帯状疱疹を疑い、注意深く皮膚を観察し、異常を見つけたらすぐに主治医や皮膚科に相談してください。
帯状疱疹を発症した場合、現在投与中の膠原病治療薬を継続できるかどうかは、帯状疱疹の重症度や膠原病の病状によって判断します。一般的には、ステロイド薬を除く免疫抑制作用のある膠原病治療薬は一時的に休薬することが推奨されていますが、病状によって対応が異なるため、できれば事前に(あるいは発症時に)主治医へご相談ください。
私(院長)の経験では、「免疫抑制作用のある薬剤を減量した後数ヶ月以内」や「ステロイド薬の(関節などへの)注射後数ヶ月以内」は帯状疱疹が起きやすいと感じています。私が過去に行った研究でもその傾向がありました。念のためご注意ください。
帯状疱疹ワクチンが2025年4月から定期接種化されます
帯状疱疹にはワクチンがあり、発症予防や重症化を防ぐ効果が期待できます。帯状疱疹は再発することがあるため、過去に発症したことがある方にも効果が期待できます。
定期接種化されるということは、対象となる方が公費助成を受けて接種できるようになることを意味します。2025年4月から、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の誕生日を迎える方(2025年度のみ101歳以上も対象)は、当該年度内に一度だけ定期接種を受けることができます。5年後の2030年度からは65歳の方だけが対象になります。
自己負担額は自治体やワクチンの種類(後述)により異なりますので、お住まいの自治体の案内をご確認ください。定期接種の対象外の方でも50歳以上であれば任意接種(全額自己負担)が可能です。組換えワクチンに関しては「帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の方」も任意接種が可能です。
当院では組換えワクチン(シングリックス)のみを取り扱っています
帯状疱疹ワクチンには生ワクチンと組換えワクチンの2種類があります。
比較項目 | 生ワクチン | 組換えワクチン(シングリックス) |
---|---|---|
接種回数 | 1回 | 2回(2ヶ月以上の間隔) |
効果の持続(推定) | 約5年 | 10年程度(長期) |
接種可能な人 | 免疫機能が正常な方 | ほぼすべての方 |
自己負担額(大分市の場合) | 3500円 | 1回9000円(合計2回で18,000円) |
副反応の出やすさ | 少ない | やや多い(注射部位の腫れや痛みなど) |
定期接種ではいずれか一種類を選択して接種します。当院に通院される患者様は免疫抑制作用のある薬剤を使用されていることが多く、生ワクチンは対象外となるため、当院では組換えワクチンのみ取り扱っています。ご希望の方はお気軽にお声かけください。
帯状疱疹は家族にうつる?
帯状疱疹そのものが人にうつることはありません。ただし、帯状疱疹の原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」は、人にうつる可能性があります。帯状疱疹の発疹(水ぶくれ)に直接皮膚が触れた場合、ウイルスが他人に感染する恐れがあります。特に、
- まだ水ぼうそうにかかったことがない人
- 水ぼうそうのワクチンを接種していない人
が感染すると、「帯状疱疹」ではなく「水ぼうそう」として発症します。ご家族の中に以下のような方がいる場合は、発疹部分に触れないよう十分に注意しましょう。
- 小さなお子さん(特に1歳未満)
- 水ぼうそうにかかったことがない高齢者
- 水ぼうそうにかかったことがない妊婦さん(特に妊娠初期)
感染予防のためにできることは、以下の3点です。
- 発疹をガーゼなどで覆い、ウイルスが飛散しないようにする
- 家族全員がこまめな手洗いを心がける
- できる範囲で接触を控える(抱っこや肌のふれあいなど)
帯状疱疹は、発疹が現れてからかさぶたになるまでの約1週間〜10日間が最も感染力が強い時期です。この期間中、特に感染リスクが高い家族がいる場合は、医師に相談し、過ごし方を工夫しましょう。
帯状疱疹に関して、ご不安な点やご質問がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。