リウマチ性多発筋痛症(PMR)は、主に50歳以上の方にみられ、肩や首、腰、股関節まわりの痛みや強いこわばりを起こす炎症性疾患です。
「急に肩が上がらなくなった」「朝、体を動かし始めるのがつらい」といった症状で気づかれることがありますが、同じような症状を起こす病気は複数あるため、症状と検査だけでなく経過や鑑別を合わせて診断します。
PMRとは
PMRでは、肩や股関節周囲を中心に炎症による痛みやこわばりが起こります。筋肉そのものが壊れる病気というより、肩・股関節周囲の炎症によって日常動作が大きく制限されることがあります。

図を選択すると拡大できます。
主な症状
- 両肩を中心とした痛みや動かしにくさ
- 首、上腕、腰、臀部、股関節周囲の痛み
- 朝のこわばり
- 寝返り、着替え、腕を上げる、立ち上がるなどの動作がつらい
- 発熱、食欲低下、体重減少、だるさなどを伴うことがある
どのように診断するか
診断では、特徴的な症状、診察所見、炎症反応(CRPなど)の血液検査、症状の経過、似た病気がないかを総合します。

肩の痛みとCRPの上昇だけでPMRと決まるわけではありません。高齢発症の関節リウマチ、感染症、悪性疾患、内分泌疾患、筋疾患、整形外科疾患など、似た症状を起こす病気を考えることが重要です。
ステロイドで症状が改善することは診断の参考になりますが、「ステロイドが効いたからPMR」とそれだけで確定するものでもありません。
治療
PMRでは、通常はステロイド薬が治療の中心になります。症状や炎症をみながら量を調整し、病状が落ち着けば急がずに減量していきます。再発を繰り返す場合や、ステロイドによる副作用リスクが高い場合などには、病状に応じてステロイド以外の治療薬を併用することがあります。
ステロイドを継続している方は自己判断で急に中止・減量しないでください。嘔吐や強い下痢などのため薬を飲めない状態が続く場合にも、自己判断でそのまま様子をみず、早めに医療機関へご相談ください。
薬の副作用や骨粗鬆症対策なども含めて、治療全体を確認します。詳しいステロイドの安全情報は「ステロイド薬について」で説明します。

当院での診療
新たに肩や股関節まわりの痛み・こわばりが出てPMRが疑われる方、他院でPMRと診断され治療中の方のいずれも診療しています。
症状、診察、血液検査、経過、鑑別を合わせて診断・病状評価を行います。必要な追加画像検査や、診断・合併症の評価により他科・高次医療機関での検査が適切な場合には連携します。
PMRと巨細胞性動脈炎
ご注意
PMRでは巨細胞性動脈炎を合併することがあります。ただし、当院で診療しているPMR患者さんで実際に合併をみることは非常にまれです。
新しく強い頭痛が出た、見え方の異常がある、物をかむと顎が痛むなどの症状がある場合には早めにご相談ください。急に視力が低下した、見えなくなったなどの症状がある場合は緊急の評価が必要です。
受診を考えてよい場合
- 50歳以上で、これまでになかった両肩や股関節周囲の痛み・こわばりが続く
- 朝のこわばりが強く、着替えや立ち上がりが急につらくなった
- 炎症反応が高いと言われ、肩・股関節周囲の症状がある
- PMR治療中で症状が再び強くなった、薬の副作用が心配
関連情報
- ステロイド薬について治療での役割、使い方、安全に治療を続けるために知っておきたいこと
- 骨粗鬆症骨折リスク、骨密度検査(DXA)、治療の考え方
- 関節リウマチ主な症状、診断に用いる診察・検査、治療の考え方、当院での診療
医学確認・参考文献
- 執筆・医学的確認
- 前島圭佑
- 最終医学確認日
このページの情報は一般的な説明であり、個々の患者さんの診断・治療を示すものではありません。
主な参考文献
- 2025 EULAR recommendations for the management of polymyalgia rheumatica and primary large vessel vasculitis. Ann Rheum Dis. Online 2026-07-21. DOI: 10.1016/j.ard.2026.06.009
- 2012 EULAR/ACR provisional classification criteria for polymyalgia rheumatica(分類基準であり、単独の診断基準として自己判断に用いない)
受診をご検討の方へ
予約方法、受付時間、初診時の持ち物や流れは「初めての方・受診案内」でご確認ください。