骨粗鬆症は、骨が弱くなり、転倒などの小さな力でも骨折しやすくなる病気です。
治療の目的は骨密度の数字だけをよくすることではなく、将来の骨折を防ぐことです。当院では骨密度検査(DXA)を行い、骨折歴、年齢、使用している薬、基礎疾患なども含めて骨折リスクを評価します。
骨粗鬆症とは
骨の量や質が低下し、骨折しやすくなった状態です。骨密度が低いだけでなく、これまでに脆弱性骨折を起こしているかどうかも重要です。

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症状がない場合もあります
骨粗鬆症そのものは痛みを起こさないことも多く、骨折して初めて気づかれることがあります。
とくに背骨の圧迫骨折は、はっきりした外傷や強い痛みがなく生じることもあります。身長が縮んだ、背中が丸くなったなどが手がかりになる場合があります。
骨折リスク・検査
骨密度検査(DXA)
当院ではDXA法による骨密度検査を行っています。骨密度はYAM(若年成人平均値)などを用いて評価されます。
ただし、骨密度の数値だけで治療の必要性がすべて決まるわけではありません。骨折歴、年齢、ステロイド使用、転倒リスク、基礎疾患なども合わせて判断します。
脆弱性骨折と次の骨折予防
立った高さ程度からの転倒など、通常なら大きな骨折につながりにくい力で起こる骨折を脆弱性骨折といいます。
一度骨折すると次の骨折の危険が高くなるため、「骨折した後の次の骨折予防」も重要です。すでに脆弱性骨折を経験した方は、骨折が治った後も骨粗鬆症の評価と治療が必要か確認します。
骨折リスク
骨折リスクは、骨密度だけでなく、年齢、過去の骨折、転倒、体格、ステロイド薬、基礎疾患などで変わります。
リウマチ・膠原病そのものや、その治療の一部が骨折リスクに関係する場合もあります。

ステロイドとの関係
ステロイド薬は、必要な病気では大切な治療薬です。「骨に悪いからステロイドは使わない」ということではなく、必要なステロイドは適切に使用しながら、同時に骨折を防ぐための対策を行うことが大切です。
ステロイドを自己判断で減量・中止せず、骨密度検査や骨粗鬆症治療の必要性を主治医と一緒に確認します。
治療を考える理由
治療は、骨折リスクに応じて薬物療法と生活上の対策を組み合わせます。
運動、転倒予防、栄養も骨折予防の一部です。「骨を強くする」ことと「転ばない」ことの両方が大切です。
薬には骨が壊れるのを抑える薬、骨をつくる働きを高める薬、骨の代謝を整える薬などがあり、内服薬、自己注射、医療機関で行う注射・点滴など複数の選択肢があります。どの薬が適するかは、骨折歴、骨密度、年齢、腎機能、血液中のカルシウム、ステロイド薬の使用、歯科治療の予定、ほかの病気や現在の薬、通院や自己注射のしやすさなどによって異なります。

主な骨粗鬆症治療薬
骨粗鬆症の治療薬には、骨が壊れるのを抑える薬、骨をつくる働きを高める薬、骨の代謝を整える薬などがあります。内服薬、自己注射、医療機関で行う注射・点滴など、使い方もさまざまです。
すべての方に同じ薬を使うわけではありません。これまでの骨折、骨密度、年齢、腎機能、血液中のカルシウム、ステロイド薬の使用、歯科治療の予定、ほかの病気や現在の薬、通院や自己注射のしやすさなどを合わせて選びます。以下は、骨粗鬆症で一般に用いられる主な治療選択肢を説明したものです。掲載している薬が、すべて当院で処方・投与されることを示すものではありません。
ビスホスホネート製剤
骨が壊れる働きを抑える「骨吸収抑制薬」です。主な薬に、アレンドロン酸(ボナロン/フォサマック)、リセドロン酸(アクトネル/ベネット)、ミノドロン酸(ボノテオ/リカルボン)、イバンドロン酸(ボンビバ)、ゾレドロン酸(リクラスト)などがあります。内服薬のほか、注射・点滴の薬もあります。
骨折リスク、腎機能、内服のしやすさ、歯科治療の予定などを確認して選びます。内服薬には、起床後に水で服用するなど、飲み方に決まりがある製剤があります。まれに薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)や非定型大腿骨骨折が問題になることがあります。歯科受診時には使用している薬を伝え、太ももや足の付け根に続く痛みがある場合はご相談ください。抜歯などを予定していても自己判断で薬を中止せず、処方医と歯科医師に相談してください。
デノスマブ(プラリア)
骨を壊す細胞が働くために必要なRANKLという仕組みを抑える骨吸収抑制薬です。通常は6か月ごとの皮下注射です。骨折リスク、腎機能、これまでの治療、内服のしやすさなどを確認して選択肢を考えます。
低カルシウム血症やMRONJに注意が必要です。とくに腎機能が低下している方では、カルシウム値を慎重に確認します。また、自己判断で注射を長く延期したり中止したりすると、骨が壊れる働きが急に高まり、複数の背骨の骨折につながることがあります。中断・終了するときは、次の治療まで含めて主治医と相談してください。
SERM(選択的エストロゲン受容体修飾薬)
ラロキシフェン(エビスタ)やバゼドキシフェン(ビビアント)などの内服薬です。骨では女性ホルモンに似た働きをし、閉経後の女性の骨粗鬆症で選択肢になります。
静脈血栓塞栓症に注意が必要で、血栓症の既往がある方や長く動けない状態になる方などでは使用できない、または中止が必要になる場合があります。片脚の腫れや痛み、突然の息切れや胸痛などがある場合は、すぐに医療機関へ相談してください。
活性型ビタミンD製剤
エルデカルシトール(エディロール)、アルファカルシドール(アルファロール)、カルシトリオール(ロカルトロール)などの内服薬です。カルシウムの吸収や骨の代謝を整え、患者さんの状態に応じて単独またはほかの骨粗鬆症治療薬と組み合わせて使われます。
高カルシウム血症や尿路結石、腎機能などに注意が必要で、血液や尿の検査を行うことがあります。カルシウムやビタミンDを含む薬・サプリメントを使用している場合は、自己判断で追加・増量せず、医師・薬剤師へお伝えください。
ビタミンK2製剤
メナテトレノン(グラケー)は、骨の代謝に関わるビタミンK2製剤の内服薬です。病状やほかの治療との組み合わせを考えて選択肢になることがあります。
ワルファリン(ワーファリン)とは併用できません。抗凝固薬を使用している方は、骨粗鬆症の薬を開始するときに必ず医師・薬剤師へお伝えください。
テリパラチド製剤
骨をつくる働きを高める注射薬で、骨折歴があるなど骨折リスクが高い場合に選択肢になります。テリパラチド(遺伝子組換え)(フォルテオ/バイオシミラーあり)と、テリパラチド酢酸塩(テリボン)があります。製剤によって毎日、週1回、週2回など使い方が異なります。
使用できる期間には上限があります。開始前にカルシウム値、持病、これまでの治療などを確認します。注射後に吐き気、めまい、立ちくらみなどがみられることがあるため、強い症状や気になる症状がある場合はご相談ください。治療終了後は、得られた骨量を保つために、ほかの骨粗鬆症治療薬へつなぐことがあります。
アバロパラチド(オスタバロ)
骨をつくる働きを高める自己注射薬で、骨折リスクが高い骨粗鬆症で選択肢になります。通常は毎日自己注射し、使用できる期間には上限があります。
開始前にカルシウム値、腎機能、持病、これまでの治療などを確認します。動悸、めまい、吐き気などがみられることがあるため、症状が強い場合はご相談ください。治療終了後は、ほかの骨粗鬆症治療薬へつなぐことがあります。
ロモソズマブ(イベニティ)
骨をつくる働きを高めると同時に、骨が壊れる働きも抑える注射薬で、骨折リスクが高い骨粗鬆症で選択肢になります。通常は月1回、12か月間使用し、終了後は原則として別の骨粗鬆症治療薬へつなぎます。
低カルシウム血症、MRONJに加え、心筋梗塞や脳卒中などの心血管系の病気にも注意が必要です。心血管疾患の既往やリスクを確認し、骨折予防の利益とリスクを考えて使用するか判断します。少なくとも過去1年以内に虚血性心疾患または脳血管障害があった方では使用を避けます。
安全に治療を続けるために
薬の種類によって、腎機能、カルシウム値、歯科治療、血栓症、心血管疾患、現在使用している薬など、確認すべき点が異なります。薬を開始・変更・中断するときは、自己判断ではなく主治医と相談してください。
抜歯やインプラントなどを予定していても、骨粗鬆症治療薬を自己判断で中止・延期しないでください。とくにデノスマブは、長期延期・中止によって骨折リスクが高まることがあります。歯科治療とMRONJについては、続く「歯科治療を受ける方へ」で詳しく説明します。
薬剤費の目安は「治療薬にかかる費用」のページで説明します。この疾患ページでは、薬の選択肢と安全に治療を続けるために必要な情報を中心に説明します。
歯科治療を受ける方へ
骨粗鬆症に使用する一部の薬では、まれに顎の骨に問題が起こる「薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)」が知られています。
日頃から口腔内を清潔に保ち、必要な歯科治療や定期的な歯科管理を受けることが大切です。歯科を受診する際には、使用している骨粗鬆症治療薬を歯科医師へ必ずお伝えください。
抜歯やインプラントなどを予定している場合にも、薬を自己判断で中止・延期せず、処方医と歯科医師に相談してください。
顎の痛み・腫れ・排膿、抜歯後の治りが悪い、骨が露出するなどの異常がある場合は、早めに歯科・口腔外科へ相談してください。
治療を中断・延期するときの注意
骨粗鬆症治療薬は、薬によって中断・終了時の考え方が異なります。歯科治療を予定している場合も含め、自己判断で薬を中止・延期しないでください。
とくにデノスマブ(プラリア)は、自己判断で注射を長く延期したり中止したりすると、骨が壊れる働きが急に高まり、複数の背骨の骨折につながることがあります。中断・終了するときは、次の治療まで含めて主治医と相談してください。
テリパラチド製剤、アバロパラチド、ロモソズマブでは使用できる期間や治療終了後の次の治療が重要になります。治療を変更・終了するときも、自己判断せず主治医と相談してください。
当院での診療
上記は骨粗鬆症で一般に用いられる主な治療選択肢の説明であり、掲載している薬がすべて当院で処方・投与されることを示すものではありません。
当院では、骨粗鬆症、リウマチ・膠原病に伴う骨粗鬆症、ステロイド使用中の骨折リスクについて診療しています。DXA法による骨密度検査を行い、骨折歴、年齢、ステロイド使用、基礎疾患、現在の治療などを合わせて、必要な治療や経過観察を検討します。
骨折そのものの治療、手術、専門的な整形外科評価が必要な場合には整形外科等と連携します。
受診を考えてよい場合
- 健診などで骨密度が低いと言われた
- 軽い転倒などで骨折したことがある
- ステロイド薬を継続している
- 身長低下や背中の変形が気になる
- 骨粗鬆症の治療薬について相談したい
転倒後に強い背中・腰の痛みがある、歩けない、骨折が疑われる場合は、整形外科や救急を含めた早めの評価が必要です。
関連情報・治療費
参考文献
主な参考文献
- 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版
- ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン2023
- 薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)国内ポジションペーパー
- 各骨粗鬆症治療薬の電子添文(PMDA、2026年10月9日確認)
- 執筆:
- 前島圭佑
- 最終確認:
本ページは一般的な医学情報です。個別の診療については主治医にご相談ください。
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