JAK阻害薬とは
JAK(ジャック)阻害薬は、免疫や炎症に関わる情報が細胞の中へ伝わる際に働く「JAK」という酵素を抑える内服薬です。
「飲み薬だから軽い治療」という意味ではありません。
JAK阻害薬は高い治療効果が期待できる一方、安全に使用するために、感染症の有無や年齢、合併症、腎臓・肝臓の機能、ほかに使用している薬などを確認しながら選択します。
当院で使用する主なJAK阻害薬
当院では、トファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ(オルミエント)、ペフィシチニブ(スマイラフ)、ウパダシチニブ(リンヴォック)、フィルゴチニブ(ジセレカ)を使用します。
どの薬が適しているかは、病気、合併症、腎臓・肝臓の機能、ほかの薬、患者さんの背景などを合わせて考えます。
治療を始める前の確認
治療を始める前に、結核やB型肝炎などの感染症、血液検査、腎機能・肝機能などを必要に応じて確認します。
感染症と帯状疱疹
JAK阻害薬では感染症に注意します。特に帯状疱疹は重要な確認点です。
体の左右どちらか一方にピリピリ・ズキズキする痛みが出る、その部分に赤い発疹や水ぶくれが出るなどの場合は、帯状疱疹の可能性があります。早めにご相談ください。
発熱だけでなく、新しく出た咳・痰、息苦しさ、排尿時の痛み、皮膚の腫れや化膿など、「いつもと違う体調変化」にも注意してください。
高熱・嘔吐・下痢・脱水が心配なとき
ご注意
高い熱が続く、食事や水分が十分とれない、繰り返し吐く、強い下痢が続く、熱中症などで脱水が心配な場合は、JAK阻害薬をそのまま飲み続けずご相談ください。状況によって一時的に休薬します。
心血管疾患・血栓症・悪性腫瘍などの背景も確認します
JAK阻害薬では、感染症だけでなく、心血管系の病気、血栓症、悪性腫瘍などについても、患者さんの背景を確認したうえで使用する薬を選びます。
年齢、喫煙歴、これまでの心臓・血管の病気、血栓症や悪性腫瘍の既往などによって、治療薬を選ぶ際の考え方が変わることがあります。
片方の脚が急に腫れる・痛む、突然の息苦しさや胸の痛みなどがある場合は、速やかに医療機関へご相談ください。
定期的な血液検査
JAK阻害薬では、症状がなくても定期的な血液検査が大切です。検査結果を確認しながら、必要に応じて薬の量や治療内容を調整します。
腎臓・肝臓の機能と、ほかの薬
腎臓や肝臓の機能によって、使用しやすいJAK阻害薬や薬の量が異なる場合があります。当院では血液検査や患者さんの背景を確認して薬を選択します。
ほかの医療機関や歯科で新しい薬を処方してもらうときは、JAK阻害薬を使用していることを必ずお伝えください。お薬手帳もご活用ください。
強い腹痛・新しい呼吸器症状
強い腹痛が続く場合や、新しく咳・息苦しさなどの呼吸器症状が出た場合は、早めにご相談ください。
手術・ワクチン
手術を予定している場合は、JAK阻害薬を使用していることを主治医・手術担当医へお伝えください。薬をいつ休み、いつ再開するかは手術の内容や病状によって異なるため、自己判断で中止・再開しないでください。
ワクチン接種を予定している場合は、JAK阻害薬を使用していることを接種する医師にも伝え、事前にご確認ください。
妊娠・出産・授乳
妊娠を希望している場合、妊娠の可能性がある場合、妊娠が分かった場合には、自己判断で薬を中止せず早めにご相談ください。
男性の挙児希望も含め、薬剤ごとの詳しい扱いは「妊娠・出産・授乳を考えている方へ」で説明します。
治療選択は一人ひとり異なります
JAK阻害薬は、高い治療効果が期待できる重要な治療選択肢です。一方、どの患者さんにも同じように適した薬ではありません。
当院では、病気に対する治療効果だけでなく、感染症、年齢、喫煙歴、心血管疾患や血栓症、悪性腫瘍の既往、腎機能・肝機能、ほかに使用している薬などを確認します。そのうえで、治療によって期待できる効果、安全性、患者さんの希望や生活状況を合わせて考え、一人ひとりに適した治療を選択します。
医学確認・参考文献
- 執筆・医学的確認
- 前島圭佑
- 最終医学確認日
このページの情報は一般的な説明であり、個々の患者さんの診断・治療を示すものではありません。薬の使い方は、ご自身に説明された内容と処方内容に従ってください。