炎症は、本来、感染やけがなどから体を守り、傷んだ組織を修復するために必要な反応です。
感染したときに熱が出たり、けがをした場所が赤く腫れたりするのは、必要なときに炎症が立ち上がっているためです。多くの場合、原因が取り除かれ、修復が進むと炎症も落ち着いていきます。
一方、強い痛みや高熱のような目立つ症状がないまま、低いレベルの炎症に関わる反応が長く続くことがあります。
このページでは、慢性炎症のうち、主にこうした「気づきにくく、長くくすぶる炎症」を、体の中の小さな「ボヤ」とイメージして考えます。
「ボヤ」は病名ではなく、体の中で起きていることを理解しやすくするための比喩です。
急性炎症は、必要なときに起こる「火事」
感染やけがが起こると、体は異常を取り除き、傷んだ組織を修復するために炎症反応を起こします。
急性炎症では、発熱、赤み、腫れ、痛みなど、比較的はっきりした変化が現れることがあります。これは体を守るために必要な反応です。
原因がなくなり、修復が進めば、多くの場合は炎症も落ち着いていきます。
急性炎症
- 必要なときに立ち上がる
- 比較的はっきりした反応
- 多くは一過性
- 防御と修復のために必要
慢性炎症の「ボヤ」は、気づきにくく長く続く
これに対して、このページで「ボヤ」と呼ぶ慢性炎症は、強い痛みや高熱のような目立つ症状がないまま、低いレベルの炎症に関わる反応が長く続く状態をイメージしています。
小さな火でも、すぐに消えずに長くくすぶっていれば、周囲に少しずつ影響します。

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体の中でも、低度の炎症が長く続くことは、血管、代謝、組織の働き、免疫の調節などに影響し、さまざまな慢性疾患の病態と関わることがあります。
加齢に伴ってみられるこうした低度の慢性炎症は、「inflammaging(インフラメイジング)」と呼ばれることがあります。
低度の慢性炎症=「ボヤ」
- 目立つ症状がないことが多い
- 炎症の程度は低くても長く続く
- 全身のさまざまな働きと関係する
- 一つの病名ではない
なぜ「ボヤ」が続くのでしょうか
低度の慢性炎症には、加齢、遺伝的な体質、感染、喫煙、運動不足、肥満や血糖の問題、睡眠、ストレス、環境の影響など、さまざまな要因が関わることがあります。
どれか一つだけで決まるわけではなく、複数の要因が重なり合います。また、影響の大きさは病気や人によって異なります。
そのため、「生活習慣が悪いから慢性炎症になる」と単純に考えるものではありません。
長く続く「ボヤ」は、体の土台に影響します
低度の炎症が長く続く状態は、血管、代謝、組織の修復、免疫の調節など、体のさまざまな仕組みと関わります。
慢性炎症は、それだけで一つの病気を決めるものではありません。しかし、ほかの要因と重なりながら、さまざまな慢性疾患の病態に関わる背景の一つになることがあります。
慢性的な炎症環境は、免疫の調節にも影響することがあります。遺伝的な体質、感染、環境の影響など、ほかの要因が重なる中で、免疫が自分の組織に反応しやすい状態の成立や持続に関わる場合があります。
ただし、「ボヤ」のような低度の慢性炎症が、そのまま強くなって自己免疫疾患になる、という意味ではありません。
日々の生活との関係
運動、食事、睡眠、禁煙などは、全身の健康を支えるうえで大切です。
ただし、「生活習慣を整えれば慢性炎症が消える」「病気が治る」という意味ではありません。
特にリウマチ・膠原病では、必要な診察、検査、薬物治療などの医療が治療の中心です。
必要な医療を続けながら、自分に無理のない範囲で日々の健康を支える行動を考えていきます。
補足:「慢性炎症」といっても一つではありません
ここまで「ボヤ」として説明してきたのは、主に、目立つ症状がないまま低いレベルで長く続く炎症です。
一方、関節リウマチなどの自己免疫疾患では、本来は自分の組織を攻撃しないように保つ仕組み(免疫寛容)が崩れることなどが関わり、関節や臓器などで持続的な炎症が起こります。
同じ「慢性炎症」という言葉で表されても、低度の全身性炎症と自己免疫疾患の炎症では、起こり方、強さ、関与する免疫反応、必要な治療が異なります。
慢性的な低度炎症が免疫の調節に影響する可能性はありますが、自己免疫疾患は、低度の慢性炎症がそのまま強くなって起こると単純に説明できるものではありません。遺伝的な体質、免疫寛容の破綻、感染や環境の影響など、複数の要因が重なって成立します。
そのため、リウマチ・膠原病の炎症を生活習慣だけで説明したり、生活習慣だけで治療しようとしたりしないことが大切です。
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体内イメージについて
このページで使っている比喩は、体の仕組みを理解しやすくするために院長(前島圭佑)が著書でも用いているイメージ表現です。実際の体の仕組みはより複雑で、診断名や治療法を示すものではありません。
医学確認・医療情報について
- 執筆・医学的確認
- 前島圭佑
- 最終医学確認日
このページは一般的な患者向け医学情報です。個別の症状、検査結果、治療の必要性は患者さんごとに異なります。治療中の薬を、体内イメージや生活習慣を理由に自己判断で中止・減量・変更しないでください。
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