腸は、食べ物を消化・吸収するだけの場所ではありません。
口から入った食べ物や、腸内細菌がいる腸の内側は、体にとっては「外の世界」と接している場所です。
その境界で、必要な栄養を取り込みながら、体内に入れたくないものは簡単には通さない。
そんな役割をしているのが「腸管バリア」です。
院長(前島圭佑)は著書の中で、この腸管バリアを体を守る「城壁」にたとえています。
腸には、体を守る「城壁」がある
城壁は、ただの一枚の壁ではありません。
腸でも、粘液、腸の表面を覆う細胞、その細胞同士をつなぐ仕組み、免疫などが一緒になって、体の内側を守っています。
この守りがうまく働いていると、必要なものは取り込みながら、本来は通しにくい細菌由来の物質などが体内側へ入り込みにくい状態が保たれます。
反対に、腸管バリアの働きが乱れると、こうした物質が体内側と接触しやすくなり、免疫や炎症に関わる反応につながることがあります。
「腸に大きな穴が開く」という意味ではありません。
けれども、
「城壁の守りが弱くなる」
というイメージを持つと、腸管バリアの役割が分かりやすくなります。
腸内細菌も、「城壁」を守る大切な一員です
腸内細菌は、ただ腸の中に住んでいるだけではありません。
腸内細菌は、外から入ってきた病原体が増えにくい環境をつくったり、粘液や腸の細胞、免疫と関わったりしながら、腸管バリアを保つ働きに参加しています。
さらに、腸内細菌がつくるさまざまな物質も、腸の細胞や細胞同士のつながりを支え、城壁を保つことに関わっています。
つまり、腸の「城壁」は、壁そのものだけで守られているのではありません。
そこに暮らす腸内細菌も、城壁を守るうえで欠かせない存在です。
そして、その腸内細菌がつくるものの中に、もう一つ大切な「体内イメージ」があります。
腸内細菌は「消火剤」をつくる
腸の中には、多くの腸内細菌が暮らしています。
腸内細菌の一部は、食物繊維などを発酵して、
- 酢酸
- プロピオン酸
- 酪酸
などの「短鎖脂肪酸」をつくります。
短鎖脂肪酸、とくに酪酸は、腸の細胞のエネルギー源になったり、腸管バリアを支えたり、免疫反応を調整したりする働きに関わっています。
院長は著書の中で、この働きを、
「腸内細菌がつくる、天然の消火剤」
というイメージで表現しています。
体の中で炎症の「ボヤ」が広がりすぎないように、腸から消火剤が届けられている。
そんなイメージです。

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「消火剤」は、本当の薬ではありません
短鎖脂肪酸にはさまざまな働きがあり、腸だけでなく全身の免疫や代謝との関係も研究されています。
ただし、一種類の短鎖脂肪酸が炎症をすべて消してくれるわけではありません。
また、
「この食品を食べれば短鎖脂肪酸が増えて病気が治る」
という単純な話でもありません。
「消火剤」は、腸内細菌がつくる物質が、腸のバリアや炎症の調整に役立つ方向に働くことをイメージするためのたとえです。
城壁を支える材料を、腸内細菌に届ける
腸内細菌が短鎖脂肪酸をつくる材料の一つが、食物繊維です。
野菜、豆類、海藻、きのこ、全粒穀物などには、さまざまな食物繊維が含まれています。
食物繊維をとる時に、
「腸の中の菌に材料を届け、城壁を守る消火剤づくりを手伝っている」
とイメージしてみます。
特定の食品だけを大量に食べる必要はありません。
病気や体調によって適切な食事は異なりますが、いろいろな食品を組み合わせて食べることは、腸内細菌に多様な材料を届けるという意味でも大切です。
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体内イメージについて
このページで使っている比喩は、体の仕組みを理解しやすくするために院長(前島圭佑)が著書でも用いているイメージ表現です。実際の体の仕組みはより複雑で、診断名や治療法を示すものではありません。
医学確認・医療情報について
- 執筆・医学的確認
- 前島圭佑
- 最終医学確認日
このページは一般的な患者向け医学情報です。個別の症状、検査結果、治療の必要性は患者さんごとに異なります。治療中の薬を、体内イメージや生活習慣を理由に自己判断で中止・減量・変更しないでください。
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