全身性エリテマトーデス(SLE)は、皮膚、関節、腎臓、血液、神経など、さまざまな臓器に病変が現れることがある病気です。
SLEでは、病気の炎症によって痛みやだるさなどの症状が出ることがあります。
一方で、患者さんが感じる「つらさ」と、血液検査や尿検査、診察などから判断する病気の活動性が、いつも完全に一致するとは限りません。
痛み、強い疲労感、睡眠の問題、気分の変化、集中しにくさなどは、SLEの炎症の強さと必ずしも同じ動きをするわけではありません。
こうした症状には、貧血、感染症、薬の影響など、まず医学的に確認しておきたい原因があります。一方で、睡眠、活動量、気分、ストレスなど、さまざまな要因が複雑に関わり、炎症の程度だけでは説明しきれない「機能性の要因」が重なっていることもあります。
ここでいう「機能性」とは、「気のせい」という意味ではありません。
炎症や臓器の傷害が目立たなくても、体の働きを調整する仕組みがうまく働かず、痛みや疲労などの症状が強くなったり、長引いたりすることがあります。
だからといって、
「検査が落ち着いているから、この症状は機能性だろう」
と決めつけることもできません。
SLEでは、腎臓などの病変が自覚症状に乏しいまま見つかることがあります。また、神経、心臓や肺など重要な臓器の病変では、症状に応じて速やかな評価が必要になる場合があります。
感染症や薬の影響など、SLEの炎症以外にも医学的に確認すべき原因があります。
そのため、まずSLEの活動性、感染症、薬の影響などを確認し、そのうえで、炎症だけでは説明しきれない要因も含めて症状を整理することが大切です。
その際、炎症による症状と「機能性の要因」が、同じ患者さんに同時に重なっていることもあります。
つらさが残っていると、
「まだSLEが悪いのではないか」
「プレドニゾロンを減らすのが心配」
と感じることがあります。
しかし、つらさの程度だけでSLEの炎症の強さを判断することはできません。プレドニゾロンなどの治療量は、症状だけでなく、診察、血液検査、尿検査、臓器病変、これまでの経過などを合わせて、主治医と相談しながら判断します。
症状が強いからといって、炎症が強いと決めつけることもできません。反対に、検査が落ち着いているからといって、つらい症状を我慢する必要もありません。
緊急または速やかな受診・相談が必要な症状
新しく強い息苦しさ、強い胸痛、意識がもうろうとする・意識を失う、けいれん、突然の手足の動かしにくさや言葉の出にくさなどがある場合は、SLEによる症状かどうかを自己判断せず、救急受診を含めた緊急の医療評価が必要です。
急にむくみが強くなった、尿量が明らかに減ったなど腎臓の異常が疑われる場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
今回参考にした主な文献
1.
Pisetsky DS, et al.
Pain in systemic lupus erythematosus: emerging insights and paradigms.
Nat Rev Rheumatol. 2025;21:626-639.
PMID: 40858989
DOI: 10.1038/s41584-025-01290-1
2.
Mistry S, et al.
The frequency of fibromyalgia in patients with systemic lupus erythematosus and associated factors: a systematic review and meta-analysis.
Clin Rheumatol. 2025;44:9-21.
PMID: 39424681
DOI: 10.1007/s10067-024-07188-9
3.
Fanouriakis A, et al.
EULAR recommendations for the management of systemic lupus erythematosus: 2023 update.
Ann Rheum Dis. 2024;83:15-29.
PMID: 37827694
DOI: 10.1136/ard-2023-224762
医学確認
- 執筆・医学的確認
- 前島圭佑
- 最終医学確認日