全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫の異常により、皮膚、関節、腎臓、血液、神経などさまざまな臓器に症状が現れることがある自己免疫疾患です。
どの臓器にどの程度の病変が出るかは患者さんによって大きく異なるため、症状だけでなく血液検査や尿検査なども組み合わせて、その時点でどのような病変があるかを確認します。
SLEとは
SLEは、患者さんによって症状や障害される臓器の組み合わせが大きく異なる病気です。
皮膚や関節が中心の方もいれば、腎臓や血液などの病変に注意が必要な方もいます。そのため、症状、診察、血液検査、尿検査などから、その方にどのような病変があるかを確認しながら診療します。
主な症状
- 関節の痛みや腫れ
- 皮膚症状
- 発熱、だるさ
- 口内炎、脱毛など
- 胸痛などがみられることがある
- 血液の異常、腎臓、神経などの病変がみられることがある
すべての患者さんに同じ症状が起こるわけではありません。皮疹が主症状または目立つ症状として出ている場合は、まず皮膚科での評価が適切なことがあります。

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自覚症状が乏しい病変
SLEでは、自分では症状を感じにくくても血液検査や尿検査で病変が見つかることがあります。
とくに腎臓の病変は、初期にはむくみや痛みなどの自覚症状がはっきりしないことがあるため、定期的な尿検査や血液検査が重要です。
ループス腎炎と尿検査
尿蛋白や血尿などはループス腎炎を考える重要な手がかりになります。異常の程度や経過に応じて追加評価を行い、必要な場合は腎臓内科などと連携します。
一度の尿検査だけで病状全体を判断するのではなく、血液検査や病状の経過と合わせて評価します。
抗核抗体について
抗核抗体はSLEを含む自己免疫疾患でみられることがありますが、陽性だけでSLEと診断されるわけではありません。健康な方や他の病気でも陽性になることがあります。
抗核抗体陽性を指摘され、関節症状やその他の膠原病を疑う症状がある場合などはご相談いただけます。
診断
診断では、症状、診察、血液検査、尿検査、必要な画像検査などを組み合わせます。ACR/EULAR分類基準などは患者群を分類するためにも用いられる基準であり、患者さんが点数だけで自己診断するためのものではありません。

強い疲労感があっても、それだけでSLEの活動性が高いと決まるわけではなく、貧血、感染症、睡眠など他の要因も含めて確認することがあります。
治療
治療は、どの臓器に病変があるか、病状の活動性、重症度、患者さんの背景などに応じて選びます。
多くの患者さんでヒドロキシクロロキン(HCQ)が治療の基本の一つとなり、病状に応じてステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤などを組み合わせます。ステロイドは必要な場面で適切に使用しつつ、長期的には可能な範囲で曝露を減らすことも重要です。
各薬剤の使い方や安全情報は「治療薬について」で説明します。
- ステロイド薬について詳しく見る治療での役割、使い方、安全に治療を続けるために知っておきたいこと
- 免疫抑制薬について詳しく見る治療での役割、安全に使用するために確認すること
- 生物学的製剤について詳しく見る治療での役割、投与方法、安全に治療を続けるための基本情報
- 従来型の抗リウマチ薬・免疫調節薬について見る治療での役割や薬剤ごとの違い、安全に治療を続けるための基本情報

当院での診療
すでにSLEと診断されている方、抗核抗体陽性などを指摘されSLEを含む膠原病が心配な方の診療を行います。
病名だけで判断するのではなく、現在の症状、臓器病変、血液・尿検査、治療効果、副作用、合併症などを確認しながら診療します。
他科・高次医療との連携
腎臓、神経、血液などの重要な臓器病変や、入院・高度な検査治療が必要な場合には、適切な診療科・高次医療機関と連携します。
妊娠を考えている方へ
ポイント
SLEでは、病気の活動性や使用している薬だけでなく、自己抗体の種類によっても妊娠中に必要な管理が異なる場合があります。抗SS-A/Ro抗体が陽性の場合には赤ちゃんの新生児ループスや先天性心ブロックについて、抗リン脂質抗体が陽性の場合には妊娠経過や血栓症などについて注意が必要になることがあります。
妊娠を希望する場合は、可能であれば妊娠前から主治医へ相談してください。薬を自己判断で中止せず、「妊娠・出産・授乳を考えている方へ」の横断ページもご確認ください。
受診・早めの評価が必要な場合
- 抗核抗体陽性を指摘され、関節症状など複数の症状がある
- SLEと診断され、症状や検査値の変化が気になる
- 新しい息苦しさ、強い胸痛、意識・神経症状、急速なむくみなど重要な臓器病変が疑われる症状がある場合は、状況に応じて早めの評価が必要です
- 原因不明の発熱だけを主訴とする初診では、広い鑑別や緊急対応が必要なことがあるため、まず総合病院等での評価を基本とします
関連情報
- 妊娠・出産・授乳を考えている方へ妊娠前・妊娠中・授乳中の治療について、自己判断で薬を中止しないための考え方をご案内します。
- 治療薬について主な治療薬の役割や、安全に治療を続けるために知っておきたいことをご案内します。
- 治療について病状に応じた治療の考え方と、薬物療法・投与方法・他院連携についてご案内します。
医学確認・参考文献
- 執筆・医学的確認
- 前島圭佑
- 最終医学確認日
このページの情報は一般的な説明であり、個々の患者さんの診断・治療を示すものではありません。
主な参考文献
- 日本リウマチ学会:全身性エリテマトーデス診療ガイドライン2019
- 2025 American College of Rheumatology Guideline for the Treatment of Systemic Lupus Erythematosus
- EULAR recommendations for the management of systemic lupus erythematosus: 2023 update
- 日本リウマチ学会:抗SS-A抗体陽性妊娠の診療ガイドライン2026
- 日本リウマチ学会:抗リン脂質抗体陽性妊娠の診療ガイドライン2026
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予約方法、受付時間、初診時の持ち物や流れは「初めての方・受診案内」でご確認ください。