診察の時間は限られています。診察室に入ってから考え始めると、伝えたかったことを言い忘れたり、話が広がって大事なことが後回しになったりしがちです。
このページでは、前回からの体調を短い時間で伝えるための工夫をまとめました。上手に話す必要はありません。使えそうなものを一つ試してみてください。
1. まず、一番伝えたいことを1つ決める
診察の前に、「今日いちばん相談したいことは何か」を一つだけ決めておきましょう。
二つ、三つと思い浮かぶときも、その中で一番を選んでおくと、話の順番が決まり、大事なことがほかの話に埋もれにくくなります。思いついたことは、待合室でスマートフォンや紙に書き出しておくと安心です。
2. 伝える順番
次の順で話すと、医師が全体をつかみやすくなります。
- 前回からの全体の様子:「良くなった」「悪くなった」「あまり変わらない」のどれか。
- 一番伝えたいこと:「手首の腫れが続いている」「薬を飲んだら発疹が出た」「熱が出た」など。病気や薬に関係がありそうなことを先に。
- くわしく:いつから、どこに、どのような症状か。ほかに一緒に出た症状はあるか。
- そのほかの報告:救急外来やほかの医療機関を受診した、けがをした、健診で異常を指摘された、歯の治療を始めた、仕事が忙しく睡眠が足りない、など。
3と4は、医師からも質問します。答えを少し準備しておくだけで十分です。
3. 体調を0〜10点で表す
診察では、「今日の体調を0〜10点で表すと何点くらいですか」とおたずねすることがあります。
- 0点 = 病気の影響をほとんど感じない、とても良い状態
- 10点 = 病気による症状を非常に強く感じる状態
正解はありません。「今日はこのくらい」と感じる数字で大丈夫です。数字そのものより、前回からどう変わったかと、なぜその点数なのかが大切な手がかりになります。
リウマチ・膠原病の診療では、患者さんが感じている症状だけでなく、診察所見、血液検査や画像検査、これまでの経過を合わせて病状を考えます。0〜10点の数字も、診察や検査と同じように「全体を考えるための一つの手がかり」です。
0〜10点についての、よくあるご質問
「検査結果は良いのに、私は7点です。私の感覚がおかしいのでしょうか?」
いいえ。検査結果と、患者さんが感じているつらさが一致しないことはあります。痛みやだるさ、睡眠の状態、気分、ほかの病気など、さまざまな要因が体調の感じ方に影響することがあります。どこからつらさが来ているのかを考えるためにも、そのままの感覚を教えてください。
「何点を目指せばいいのですか?」
この尺度では低い数字ほど病気の影響を少なく感じている状態ですが、すべての患者さんに共通する一つの目標点があるわけではありません。たとえば8点から6点に下がった場合、ご本人の実感としては改善している可能性があります。ただし、その変化だけで「病気の活動性が下がった」「治療が効いた」と決めることはできません。診察所見や検査結果なども合わせて確認します。
「高い数字を言うと、薬が増えるのでしょうか?」
点数だけで自動的に薬を増やしたり、治療方針を変更したりすることはありません。高い数字には、病気の活動性だけでなく、痛み、疲労、睡眠、ほかの体調変化などが関係していることもあります。まず理由を一緒に整理し、そのうえで必要な対応を考えます。
医療者の方へ:患者全般評価(PtGA)などに相当する質問です。
痛みの変化も、「前回の半分くらいになった」「2割ほど楽になった」のように、おおまかな数字で表すと伝わりやすくなります。
4. 薬を使ってどうだったか
新しい薬を始めたり、量を変えたりしたあとは、その薬が合っているかを確かめる大切な時期です。
まず、次の三つのどれに近いかを答えてみてください。
- よく効いた
- 少し効いた
- 効かなかった
効いた場合は、「飲み始めてすぐ」「2週間くらいしてから少しずつ」など、いつ頃から効いてきたかも教えてください。薬にはそれぞれ効き方の特徴があり、その特徴に合っているかも判断の材料になります。
感じたとおりに伝えてください。 「せっかく出してもらったのに、効かなかったとは言いにくい」と感じる方もいます。けれども、効いていない薬を「少し効いた」と答えると、合わない薬を続けることになります。反対に、効き始めているのに「効かなかった」と答えると、合っている薬を候補から外してしまうことがあります。
リウマチ・膠原病の薬の効き方には個人差があり、使ってみないと分からないことが少なくありません。薬を変えていくのは、よくあることです。
副作用のような症状があった、飲めなかった、自己判断で減らしてしまった、ということも、そのままお伝えください。責めるためではなく、続けやすい方法を一緒に考えるためです。
5. 見た目の変化は、写真に残す
関節の腫れや皮疹(皮膚の症状)は、診察の日には引いていることがあります。見た目の変化を言葉だけで伝えるのは、とても難しいものです。そんなときは、スマートフォンの写真が役に立ちます。
- その病気と関係があるかどうかは考えずに撮ってください。 判断は医師が行います。
- 反対側も一緒に撮ると、腫れや赤みの違いが分かりやすくなります(例:左右の手を並べて)。
- 明るい場所で、少し離れた写真と近づいた写真の両方を撮っておくと、場所と様子の両方が伝わります。
- 写真は撮った日時が残るので、いつ頃の症状かも分かります。
診察のときに「写真があります」と一言添えてください。
6. 生活の事情も、診療の材料です
仕事や学業、子育てや介護、通院にかかる時間や交通手段、医療費の負担は、治療を続けるうえで大きな事情です。言わなければ医師には見えにくいことなので、困っていることがあれば遠慮なくお伝えください。
すべてを希望どおりにできるとは限りませんが、病状や安全性とのバランスを考えながら、続けやすい方法を一緒に探します。医療費については「医療費・公的支援制度」もご覧ください。
7. 処方のお願いは、処方を決めるときに
「薬が余っているので減らしてほしい」「湿布がほしい」など、処方についてのお願いは、診察の終わりに処方を決めるときにお伝えください。診察のはじめに伝えていただいた場合も、処方のときにもう一度おっしゃっていただけると、漏れを防げます。
処方の内容を受け取ったら、できれば医院を出る前に、お薬手帳の前回の内容と見比べてみてください。お願いしたことが反映されていない場合は、その場でお知らせください。
半年に1回など、間隔のあいた注射や点滴がある方は、次の予定時期をご自身でも控えておいてください。
8. メモの使い方
メモを見ながら話してかまいません。
- 血圧・体温・体重などの数値の記録は、そのままお見せいただくと役に立ちます。
- 初めて受診するときは、これまでの経過を時系列にまとめたメモがあると助かります。
- 長い治療の経過は、「治療歴ノートのつくり方」も参考にしてください。
9. 全部を一度に話さなくてかまいません
起きたことをすべて伝えなければ、と身構える必要はありません。要点を伝えていただければ、必要なことは医師から質問します。
相談したいことがたくさんあるときは、急ぎでないものを次回に回すのも一つの方法です。説明を一緒に聞いてほしいときは、ご家族と一緒に受診していただくこともできます。
体調の急な変化で、次の診察まで待てないと感じるときは、「治療中の暮らしの注意」の早見表と、「緊急時・診療時間外のご案内」をご覧ください。
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- 執筆:
- 前島圭佑
- 最終確認:
本ページは一般的な医学情報です。個別の診療については主治医にご相談ください。