大分市で、リウマチ・膠原病を中心に、内科の慢性疾患を診療しています。

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骨・血圧・血糖・眼・感染をまとめて確認する

ステロイド薬(プレドニゾロンなど)は、リウマチ・膠原病の治療で炎症を抑えるために欠かせない薬です。一方で、使う量や期間によって、骨、血圧、血糖、眼など、体のさまざまなところに影響が出ることがあります。

大切なのは「ステロイドを使わないこと」ではなく、必要な量を使いながら、体への影響を早めに見つけて手当てすることです。このページでは、ステロイド治療中に確認しておきたいことを一つにまとめました。

ステロイドを使いながら体を守る

ステロイドは、もともと副腎という臓器で毎日つくられている、生きていくために欠かせないホルモンです。治療ではこのホルモンを薬として使うため、量が多い時期や使う期間が長いときには、ホルモンが多すぎる状態の影響が体のあちこちに出ることがあります。

火事(炎症)を消すには十分な水が必要ですが、水をかけすぎると家そのものも傷みます。ステロイド治療では、炎症を抑える効果と体への影響の両方を見ながら、病状が落ち着けば可能な範囲で量を減らしていきます。

多くの影響は、ステロイドを減らすにつれて目立たなくなります。ただし、骨折や白内障のように、起こってからでは元に戻りにくいものもあります。そのため、起こる前に確認し、早めに手を打つことが大切です。

いちばん大切なこと:自己判断で急にやめない(副腎)

ご注意

ステロイド薬(プレドニゾロンなど)を続けていると、体の中の副腎が「自分でつくらなくてもよい」と判断して、ホルモンをつくる働きを休めてしまいます。この状態で薬を急にやめると、体に必要なホルモンが足りなくなり、だるさ、吐き気、発熱、血圧の低下などが起こることがあります(副腎不全)。重い場合は命に関わることがあります。

  • 体調が悪いとき、副作用が心配なときも、自己判断で中止・減量しないでください
  • 飲み忘れに気づいたら、その日のうちであれば、気づいたときに飲んでください(飲み方について個別の指示がある場合はそれに従ってください)
  • 外出や旅行のときは、少し予備を持ち歩くと安心です
  • 吐いてしまって飲めないときは、その日のうちに当院へご連絡ください(診療時間外は「緊急時・診療時間外の受診先について」)
  • 手術や、絶食を伴う検査を受けるときは、ステロイドを使っていることを担当の医師にお伝えください

風邪で熱が出たときもステロイドは続けます。熱が出たときのほかの薬の扱いは、「治療中の暮らしの注意」の早見表をご覧ください。

ステロイドが体に与える影響の全体像

体の部位起こりうること主な確認方法ページ内
骨骨が弱くなり、骨折しやすくなる骨密度検査(DXA)、骨折歴、身長骨
血圧血圧が上がる診察室・ご自宅での血圧血圧
血糖食後を中心に血糖が上がる血液検査(血糖・HbA1c)血糖
脂質・体重コレステロール・中性脂肪の上昇、食欲が増える、体重増加、顔が丸くなる血液検査、体重脂質・体重・筋肉
眼白内障、緑内障(眼圧の上昇)眼科での検査眼
感染感染症にかかりやすく、治りにくくなる症状の変化に早く気づく感染症
副腎急にやめると副腎不全自己判断で中止しない上の囲み

起こりやすさは、ステロイドの量と期間、年齢、もともとの体質や持病によって異なります。表のすべてが起こるわけではありません。

骨

ステロイドは骨をつくる働きを弱め、骨折しやすくします。骨密度の数字がまだ大きく下がっていなくても、骨折しやすさが高まることがあります。

日本の「グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023」では、ステロイドを3か月以上使っている方、または3か月以上使う予定の方を対象に、骨折のしやすさを評価することを勧めています。評価には、骨密度だけでなく、これまでの骨折、年齢、ステロイドの量を合わせて用い、骨折のしやすさが高いと判断されれば、骨粗鬆症の薬による治療を考えます。

  • ステロイドを始めるときから、骨の評価と予防を一緒に考えます
  • 当院ではDXA法による骨密度検査(腰椎・大腿骨)を行っています
  • 背中が丸くなった、身長が縮んだ、軽く転んだだけで骨折したといった変化はお知らせください
  • 骨粗鬆症の薬の中には、歯科治療の際に注意が必要なものがあります。歯科を受診するときは使っている薬をお伝えください

まれですが、股関節などの骨の一部に血液が届かなくなる病気(骨頭壊死)が起こることもあります。股関節や太ももの付け根の痛みが続く場合はご相談ください。

詳しくは「骨粗鬆症」をご覧ください。

血圧

ステロイドによって血圧が上がることがあります。もともと血圧が高めの方や、ステロイドの量が多い時期は、とくに注意が必要です。

血圧計をお持ちの方は、ご自宅で測った値を記録し、受診時にお持ちください。診察室での1回の値より、ふだんの血圧の様子が分かります。全身性強皮症の方では、血圧の変化がとくに大切な手がかりになります(「全身性強皮症・レイノー現象」)。

測り方や生活の工夫は「高血圧と言われたら」で詳しくご説明しています。

血糖

ステロイドには血糖を上げる働きがあります。もともと血糖が高めの方、ご家族に糖尿病の方がいる方、体重が増えた方、ステロイドの量が多い時期は、とくに注意が必要です。

ステロイドを1日1回朝に飲んでいる場合、朝の空腹時の血糖はあまり上がらず、食後、とくに昼以降に血糖が高くなりやすいことが知られています。そのため、朝の空腹時の血糖だけでは、上昇に気づきにくいことがあります。

  • 治療中は、血液検査で血糖やHbA1cを確認します
  • のどが異常に渇く、尿の回数や量が増えた、体重が急に減ったといった変化はお知らせください
  • 健診で血糖について指摘を受けたときも、結果をお持ちください

血糖の値に応じて、食事や運動の工夫を含め、今後の対応をご説明します。ステロイドを減らすと、血糖が下がってくることが多くあります。

脂質・体重・筋肉

ステロイドを使っている間は、食欲が増えやすく、体重が増えたり、お腹まわりや顔に脂肪がつきやすくなったりします(顔が丸くなる変化を「満月様顔貌」といいます)。コレステロールや中性脂肪が上がることもあります。

  • 食欲が増えることを前提に、間食や夜遅い食事を控えるなど、無理のない範囲で工夫しましょう
  • 体重は、ご自宅でも時々測っておくと変化に気づきやすくなります
  • ステロイドの量が多い時期や長く使っている場合は、太ももなどの筋肉が細くなり、立ち上がりにくさを感じることがあります。体調に合わせて体を動かし、筋肉を保つことが大切です

顔つきや体型の変化は、ステロイドを減らすにつれて戻ってくることが多いものです。気になることがあれば遠慮なくお伝えください。

食事の工夫は「脂質異常症の食事療法」も参考になります。

眼(白内障・緑内障)

ステロイドを続けて使うと、白内障(水晶体のにごり)や、眼圧が上がって起こる緑内障が起こることがあります。緑内障は初期には自覚症状がはっきりしないことがあるため、症状がなくても、定期的に眼科で検査を受けておくと安心です。

当院では眼の検査は行っていないため、お近くの眼科で検査を受けてください。眼科を受診するときは、ステロイドを使っていることをお伝えください。

見えにくさ、かすみ、まぶしさ、目の痛みなどの変化がある場合は、次の定期検査を待たずに眼科を受診してください。

感染症

ステロイドは免疫の働きも抑えるため、感染症にかかりやすく、また治りにくくなることがあります。

  • 手洗い、口の中を清潔に保つこと(歯科での定期的なケアを含む)、けがの手当てなど、基本的な予防が役立ちます
  • 大切なのは、「いつもと違う」体調の変化に早めに気づくことです。詳しくは「治療中の暮らしの注意:「感染に注意して」とは」をご覧ください
  • 熱が出たときの薬の扱いは、「治療中の暮らしの注意」の早見表をご覧ください。ステロイドは熱が出ても続けます
  • ステロイドの量が多い時期には、感染症(肺炎の一部)を防ぐための薬を一緒に使うことがあります
  • 水ぼうそうやはしかにかかったことがない方は、身近にこれらの患者さんが出たときは主治医にお知らせください

そのほかに気をつけたいこと

  • 胃:胃の不調や黒っぽい便に気づいたらお知らせください。痛み止め(解熱鎮痛薬)を一緒に使うときは、胃への負担にも注意が必要です
  • 眠り・気分:眠りにくくなる、気分が高ぶる・落ち込むなどの変化が出ることがあります。量が多い時期にみられやすく、多くは量を減らすと落ち着きます
  • 皮膚:あざができやすい、皮膚が薄くなる、にきびのような発疹が出ることがあります
  • 血栓:片方の脚の腫れや痛み、急な息切れや胸の痛みがある場合は、すぐに医療機関にご相談ください

定期的に確認すること

確認すること目安
血圧・体重受診のたび。ご自宅でも測れれば記録を
血液検査(血糖・脂質を含む)病状や治療に合わせて定期的に
骨の評価(骨密度など)ステロイドを3か月以上使う(予定を含む)とき。その後も年1回程度を目安に
眼科での検査年1回程度を目安に
身長年1回程度。縮んできたら骨の確認を

検査の間隔は、ステロイドの量、使う期間、年齢、持病などによって異なります。ご自身の目安は主治医にご確認ください。

ご自身でできること

  • ステロイドは自己判断で中止・減量しない。予備を持ち歩く
  • 血圧と体重を、できる範囲で記録する
  • 年1回程度、眼科で検査を受ける
  • 転ばない工夫(足元の明るさ、段差、履き物)をする
  • 体調に合わせて体を動かし、筋肉を保つ
  • 他の医療機関・歯科・薬局では、ステロイドを使っていることを伝える
  • 「いつもと違う」体調の変化があれば、早めに相談する

すべてを完璧に行う必要はありません。できそうなことから一つずつで十分です。

当院での診療

当院では、リウマチ・膠原病の治療でステロイドを使っている方について、病気の状態とあわせて、血圧、血液検査(血糖・脂質など)、骨密度(DXA)を確認しながら診療しています。高血圧症や脂質異常症については、ステロイドの影響も含めて当院で継続して診療できます。

眼科の検査、骨折の治療など、当院で行えない検査や治療は、眼科・整形外科など適切な医療機関と連携します。

ステロイドの量や減らし方は、病気の状態と体への影響の両方を見ながら一緒に考えます。不安なことは診察の際にお尋ねください。

参考文献

主な参考文献

  • 日本骨代謝学会 グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン作成委員会 編:グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023(南山堂、2023年)
  • プレドニン錠5mg 電子添文(2026年3月改訂 第6版、PMDA)
  • EULAR recommendations for the treatment of systemic sclerosis: 2023 update(Ann Rheum Dis 2025;84:29–40)(全身性強皮症とステロイド・血圧)
執筆:
前島圭佑
最終確認:

本ページは一般的な医学情報です。個別の診療については主治医にご相談ください。

薬の使い方は、ご自身に説明された内容と処方内容に従ってください。

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