リウマチ・膠原病の薬には、妊娠中や授乳中も続けられる薬と、妊娠前に別の薬へ切り替える必要がある薬があります。切り替えが必要な薬の中には、やめたあと一定期間は避妊が必要なものもあります。
このページでは、当院で使う主な薬について、妊娠中・授乳中の扱いと、妊娠を目指すときに気をつけることを一覧にしました。全体の考え方は「妊娠・出産・授乳を考えている方へ」をご覧ください。
まず、すべての薬に共通する約束
1. 自己判断で薬をやめないでください。
急にやめると病気が悪化し、かえってお母さんと赤ちゃんの両方に負担がかかることがあります。ステロイド薬(プレドニゾロン)は、急にやめること自体が危険です。
2. 妊娠が分かったら、次の服用・注射の前に当院へご連絡ください。
連絡がつかない場合は、処方元の医療機関、産婦人科、薬剤師に相談してください。
この表で「妊娠中は使えない」としている薬は、連絡がついて指示を受けるまで、次の服用・注射を見合わせてください。ステロイド薬はやめずに続けてください。
3. 妊娠は「計画して」迎えるのがいちばん安全です。
妊娠を考え始めたら、できるだけ早い段階でご相談ください。薬の切り替えと、切り替え後に病気が落ち着いていることの確認に時間がかかるためです。
表の見方
- 妊娠中/授乳中:一般的な扱いです。実際に使うかどうかは、病気の状態と薬の必要性を考えて決めます。
- 妊娠を目指すとき:妊娠前に中止・変更が必要か、中止後どれくらい避妊が必要かを書いています。
- 男性が使っている場合:パートナーの妊娠を考えるときの扱いです。
- 日本の添付文書(薬の公式な説明書)と、国内外の専門学会の指針とで扱いが違う薬があります。その場合は両方を書いています。どちらに沿うかは、一人ひとりの状況で医師が判断します。
1. ステロイド薬・抗リウマチ薬(飲み薬)
| 薬(一般名/主な商品名) | 妊娠中 | 授乳中 | 妊娠を目指すとき(女性) | 男性が使っている場合 |
|---|---|---|---|---|
| プレドニゾロン(プレドニンなど) | 必要な量で続けます。できるだけ少ない量で病気を抑えることを目指します。急にやめるのは危険です。 | 多くの場合、授乳できます。量が多いときは、飲んでから授乳までの時間を調整することがあります。 | 中止は不要です。病気を落ち着かせ、量を減らしておくことを目指します。 | 続けられます。 |
| メトトレキサート(リウマトレックス、メトジェクトなど) | 使えません。 | 原則として使いません。ほかに適した薬がない場合は、授乳を続けるかどうかを含めてご相談ください。 | 妊娠前に中止し、別の薬に切り替えます。 添付文書では、中止後少なくとも1回の月経周期は避妊が必要です。海外の指針では、中止から妊娠まで1〜3か月あけるとするものがあります。 | 添付文書では、服用中と中止後少なくとも3か月間はパートナーの妊娠を避けるよう求めています。一方、海外の指針では続けてよいとしています。 |
| サラゾスルファピリジン(アザルフィジンENなど) | 国内外の指針では、妊娠中も続けられる薬とされています。添付文書には「投与しないことが望ましい」と慎重な記載があります。 | 指針では、健康な正期産の赤ちゃんであれば授乳できるとされています。添付文書では授乳を避けるよう書かれています。 | 指針では、中止は不要とされています。 | 続けられますが、精子の数・動きが一時的に減ることがあります。妊娠までに時間がかかる場合は相談します。 |
| ブシラミン(リマチル) | 必要性と安全性を考えて使うことがある薬です。海外の指針には記載がなく、妊娠中の情報は限られます。 | 必要性を考えて、授乳を続けるか検討します。 | 個別にご相談ください。 | 個別にご相談ください。(添付文書・指針とも記載なし) |
| イグラチモド(ケアラムなど) | 使えません。 | 必要性を考えて、授乳を続けるか検討します。 | 妊娠前に中止し、別の薬に切り替えます。 中止後の避妊期間は添付文書に記載がありません。 | 個別にご相談ください。(添付文書・指針とも記載なし) |
| ヒドロキシクロロキン(プラケニル) | 国内外の指針では、続けることが勧められています。SLEでは、妊娠中に続けることで再燃を減らすなどの報告があります。添付文書では、十分に説明したうえで必要な場合に使う薬とされています。 | 指針では授乳できるとされています。添付文書では授乳を避けるよう書かれています。 | 指針では中止は不要です。添付文書には、妊娠可能な女性には避妊が望ましいと説明するよう書かれています。 | 続けられます。 |
| コルヒチン | 添付文書では、痛風の治療では使えません。家族性地中海熱では、必要性と安全性を考えて使います。海外の指針では、妊娠中も使える薬とされています。 | 必要性を考えて、授乳を続けるか検討します。指針では授乳できるとされています。 | 痛風で使っている場合は、妊娠前に相談してください。家族性地中海熱では続けることが多い薬です。 | 続けられます。 |
| アプレミラスト(オテズラ) | 使えません。 | 海外の指針では、情報が少ないため授乳中は避けるとされています。添付文書では、必要性を考えて授乳を続けるか検討するとされています。 | 妊娠前に中止します。 添付文書では、最後の服用から48時間は避妊が必要です。 | 添付文書に記載はありません。子どもを希望する場合はご相談ください。 |
2. 免疫抑制薬
| 薬(一般名/主な商品名) | 妊娠中 | 授乳中 | 妊娠を目指すとき(女性) | 男性が使っている場合 |
|---|---|---|---|---|
| タクロリムス(プログラフなど) | 必要性と安全性を考えて、続けることがある薬です。国内外の指針でも、妊娠中に使える薬とされています。血圧や腎臓などの確認を続けます。 | 指針では授乳できるとされています。添付文書では「授乳しないことが望ましい」とされています。 | 指針では中止は不要です。 | 続けられます。 |
| シクロスポリン(ネオーラルなど) | 必要性と安全性を考えて、続けることがある薬です。指針でも妊娠中に使える薬とされています。 | 指針では授乳できるとされています。添付文書では「授乳しないことが望ましい」とされています。 | 指針では中止は不要です。 | 続けられます。 |
| アザチオプリン(イムラン、アザニン) | 必要性と安全性を考えて、続けることがある薬です。指針でも妊娠中に使える薬とされています。 | 必要性を考えて授乳を続けるか検討します。指針では授乳できるとされています。 | 指針では中止は不要です。添付文書には、可能な限り使用中の妊娠を避けることが望ましいという記載があります。 | 添付文書では、可能な限りパートナーの妊娠を避けることが望ましいとされています。海外の指針では続けてよいとしています。 |
| ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト) | 使えません。 赤ちゃんの形の異常や流産が増えることが分かっています。 | 海外の指針では、授乳中は使わないとされています。添付文書では、必要性を考えて授乳を続けるか検討するとされています。 | 妊娠前に中止し、別の薬に切り替えます。 使用前から使用中、中止後6週間は確実な避妊が必要です。使用中は妊娠していないことを定期的に確認します。海外の指針でも、妊娠の6週間以上前に中止するとされています。 | 添付文書に記載はありません。海外の指針では続けてよいとしています。 |
| レフルノミド(アラバ) | 使えません。 | 使えません。 | 妊娠前に中止し、体から薬を除く処置(薬物除去法)を行うことが勧められます。 この薬は体に長く残るため、除去法を行わない場合、安全な濃度に下がるまで最長2年かかることがあり、その間は確実な避妊が必要です。詳しくは下の「レフルノミドを使っている方へ」をご覧ください。 | 添付文書では、使用中は避妊し、子どもを希望する場合は中止と薬物除去を考えるよう書かれています。海外の指針では続けてよいとしています。 |
| シクロホスファミド(エンドキサン) ※当院では通常使用していません | 原則として使いません。ほかに方法がない重い状態に限って検討されることがあります。 | 使えません。 | 妊娠前に中止します。 添付文書では、中止後「一定期間」の避妊が必要とされています。海外の指針では、中止から3か月あけるとされています。将来の妊娠のしやすさに影響することがあるため、使う前に相談します。 | 添付文書では、中止後「一定期間」の避妊が必要とされています。海外の指針では、子どもを希望する3か月前には中止するとされています。 |
3. 生物学的製剤(注射・点滴の薬)
生物学的製剤は、妊娠の後半に赤ちゃんへ移行しやすい性質の薬が多く、妊娠後半まで使った場合は、生まれた赤ちゃんが受ける生ワクチン(BCG、ロタウイルスワクチンなど)の時期に注意が必要です。英国の指針では、TNF阻害薬以外の生物学的製剤を妊娠後期に使った場合、生後6か月まで生ワクチンを避けるとしています。その場合、接種できる時期が限られたロタウイルスワクチンは受けられないことがあります。出産後、赤ちゃんの予防接種を受ける医療機関に、妊娠中に使った薬をお伝えください。
| 薬(一般名/主な商品名) | 妊娠中 | 授乳中 | 妊娠を目指すとき(女性) | 男性が使っている場合 |
|---|---|---|---|---|
| TNF阻害薬:インフリキシマブ(レミケードなど)、アダリムマブ(ヒュミラなど)、エタネルセプト(エンブレルなど)、ゴリムマブ(シンポニーなど)、セルトリズマブ ペゴル(シムジア) | 必要性と安全性を考えて、続けることがある薬です。国内外の指針でも、妊娠中に使える薬とされています。セルトリズマブ ペゴルは、ほかのTNF阻害薬に比べて赤ちゃんへの移行が少ないとされています(添付文書には、臍帯血への移行が認められたという報告も書かれています)。どの時期まで使うかは、病状と薬の種類で決めます。 | 指針では授乳できるとされています。添付文書では、必要性を考えて授乳を続けるか検討するとされています。 | 中止は不要です。 | 続けられます。 |
| IL-6阻害薬:トシリズマブ(アクテムラ)、サリルマブ(ケブザラ) | 必要性と安全性を考えて使うことがある薬です。妊娠中の情報はTNF阻害薬より少なく、海外の指針の扱いは「妊娠が分かった時点で中止を考える」「必要なら使ってよい」と分かれています。 | 必要性を考えて授乳を続けるか検討します。指針では授乳できるとされています。 | 妊娠前の中止は不要とされることが多い薬です。妊娠が分かった後の扱いは個別に相談します。 | 海外の指針では続けてよいとするものと、情報が少なく判断できないとするものがあります。 |
| アバタセプト(オレンシア) | 同上。 | 同上 | 同上。 | 同上。 |
| IL-17阻害薬:セクキヌマブ(コセンティクス)、イキセキズマブ(トルツ)、ブロダルマブ(ルミセフ)、ビメキズマブ(ビンゼレックス) | 必要性と安全性を考えて使うことがある薬です。妊娠中の情報は限られます。 | 必要性を考えて授乳を続けるか検討します。指針では授乳できるとされています。 | 同上。 | 同上。 |
| IL-12/23阻害薬:ウステキヌマブ(ステラーラなど) | 同上。 | 同上 | 同上。 | 同上。 |
| IL-23阻害薬:グセルクマブ(トレムフィア)、リサンキズマブ(スキリージ) | 必要性と安全性を考えて使うことがある薬です。海外の指針では、情報がとても少ないため、利点と危険性を慎重に比べて使うとされています。 | 必要性を考えて授乳を続けるか検討します。 | 個別にご相談ください。 | 添付文書に記載はありません。子どもを希望する場合はご相談ください。 |
| ベリムマブ(ベンリスタ) | 必要性と安全性を考えて使うことがある薬です。妊娠後半に使うと、赤ちゃんの免疫細胞(B細胞)が一時的に減ることがあります。 | 必要性を考えて授乳を続けるか検討します。指針では授乳できるとされています。 | 添付文書では、続けるかどうかを慎重に判断し、中止する場合は中止後少なくとも4か月は避妊が必要です。海外の指針では、「妊娠が分かった時点で中止」とするものと、「必要なら使ってよい」とするものがあります。個別にご相談ください。 | 海外の指針では続けてよいとするものと、判断できないとするものがあります。 |
| アニフロルマブ(サフネロー) | 必要性と安全性を考えて使うことがある薬です。海外の指針では、情報がとても少ないため、利点と危険性を慎重に比べて使うとされています。 | 必要性を考えて授乳を続けるか検討します。 | 個別にご相談ください。(添付文書に避妊期間の記載はありません) | 添付文書に記載はありません。子どもを希望する場合はご相談ください。 |
4. JAK阻害薬(飲み薬)
| 薬(一般名/主な商品名) | 妊娠中 | 授乳中 | 妊娠を目指すとき(女性) | 男性が使っている場合 |
|---|---|---|---|---|
| トファシチニブ(ゼルヤンツ) | 使えません。 | 授乳しないことが望ましいとされています。 | 妊娠前に中止します。 中止後少なくとも1回の月経周期は避妊が必要です。 | 添付文書に記載はありません。子どもを希望する場合はご相談ください。 |
| バリシチニブ(オルミエント) | 使えません。 | 授乳しないことが望ましいとされています。 | 妊娠前に中止します。 中止後少なくとも1回の月経周期は避妊が必要です。 | 同上。 |
| ウパダシチニブ(リンヴォック) | 使えません。 | 授乳しないことが望ましいとされています。 | 妊娠前に中止します。 最後の服用後1回の月経周期は避妊が必要です。 | 同上。 |
| ペフィシチニブ(スマイラフ) | 使えません。 | 授乳しないことが望ましいとされています。 | 妊娠前に中止します。 中止後少なくとも1回の月経周期は避妊が必要です。 | 同上。 |
| フィルゴチニブ(ジセレカ) | 使えません。 | 授乳しないことが望ましいとされています。 | 妊娠前に中止します。 中止後「一定期間」の避妊が必要とされていますが、具体的な期間は添付文書に書かれていません。 | 使い始める前に、精子をつくる働きが低下して子どもができにくくなる可能性について説明を受けてください。子どもを希望する場合はご相談ください。 |
(参考:英国リウマチ学会の指針では、JAK阻害薬は妊娠の2週間前までに中止するとされており、日本の添付文書の「1回の月経周期」より短い期間です。当院では添付文書に沿ってご説明します。)
5. そのほかの薬(骨粗鬆症の薬・痛み止め・血圧の薬)
| 薬(一般名/主な商品名) | 妊娠中 | 授乳中 | 妊娠を目指すとき(女性) | 男性が使っている場合 |
|---|---|---|---|---|
| ビスホスホネート:アレンドロン酸(ボナロン経口ゼリー)、リセドロン酸(アクトネル)、イバンドロン酸(ボンビバ)、ゾレドロン酸(リクラスト) | リセドロン酸・イバンドロン酸・ゾレドロン酸は使えません。アレンドロン酸(ボナロン経口ゼリー)は、必要性と安全性を考えて使う薬とされています。 | 必要性を考えて授乳を続けるか検討します。 | 骨に長く残る薬で、やめてから妊娠するまでの期間と安全性の関係は分かっていません。英国の指針では妊娠の3か月前に中止するとされています。妊娠を考え始めたら早めにご相談ください。 | 添付文書に記載はありません。英国の指針では、情報は限られるものの影響は考えにくいとされています。 |
| デノスマブ(プラリア) | 使えません。 | 必要性を考えて授乳を続けるか検討します。 | 使用中と、最後の注射の後「一定期間」は避妊が必要です(具体的な期間は添付文書に書かれていません)。注射を自己判断で延ばしたりやめたりすると、背骨の骨折が続けて起こることがあります。 やめる場合は次の治療まで含めて相談します。 | 添付文書に記載はありません。 |
| テリパラチド(フォルテオ、テリボン) | 使えません。 | フォルテオは授乳中も使えません。テリボンは必要性を考えて授乳を続けるか検討します。 | 使用中は有効な避妊が必要です。 | 添付文書に記載はありません。 |
| ロモソズマブ(イベニティ) | 必要性と安全性を考えて使う薬とされています(禁忌ではありません)。 | 必要性を考えて授乳を続けるか検討します。 | 個別にご相談ください。 | 添付文書に記載はありません。 |
| 痛み止め(NSAIDs):ロキソプロフェン(ロキソニンなど)、セレコキシブ(セレコックス)、ジクロフェナク(ボルタレンなど)など | 妊娠後期(セレコキシブは妊娠末期)は使えません(赤ちゃんの心臓につながる血管〔動脈管〕が細くなるおそれ)。ジクロフェナクは妊娠中の全期間で使えません。それ以外の時期も、羊水が減るなどの報告があるため、必要な最小限にとどめます。市販の痛み止めも、使う前に医師・薬剤師にご相談ください。 | 必要性を考えて授乳を続けるか検討します。指針では授乳できるとされています。 | 妊娠しにくい場合は中止を考えることがあります。 | 続けられます。 |
| 血圧の薬(ARB・ACE阻害薬・ARNI):オルメサルタン(オルメテック)、カンデサルタン(ブロプレス)、エナラプリル(レニベース)、イミダプリル(タナトリル)、サクビトリルバルサルタン(エンレスト)など | 使えません。 妊娠中期以降に使うと、羊水が減る、赤ちゃんの腎臓に障害が出るなどの報告があります。 | 薬によって異なります。オルメサルタン・カンデサルタン・サクビトリルバルサルタンは「授乳しないことが望ましい」、エナラプリル・イミダプリルは必要性を考えて検討するとされています。 | 妊娠を計画する場合は、事前に処方医へご相談ください。使用中は、妊娠していないことを定期的に確認します。 | 続けられます(英国の指針、情報は限られる)。 |
中止後に避妊が必要な期間(まとめ)
妊娠前に中止する薬について、日本の添付文書に書かれている「中止後に避妊が必要な期間」をまとめました。実際には、薬をやめた後に病気が落ち着いていることを確かめてから妊娠を目指すため、これより長く待つことがあります。
| 薬 | 中止後に避妊が必要な期間(添付文書) |
|---|---|
| メトトレキサート | 女性:少なくとも1回の月経周期/男性:少なくとも3か月 |
| レフルノミド | 薬物除去法で血液中の濃度が十分に下がったと確認できるまで(除去法を行わない場合は最長2年) |
| ミコフェノール酸モフェチル | 6週間 |
| アプレミラスト | 48時間 |
| トファシチニブ、バリシチニブ、ウパダシチニブ、ペフィシチニブ | 少なくとも1回の月経周期(ウパダシチニブは「1回の月経周期」) |
| フィルゴチニブ | 「一定期間」(期間の記載なし) |
| ベリムマブ(中止する場合) | 少なくとも4か月 |
| シクロホスファミド | 女性・男性とも「一定期間」(期間の記載なし) |
| デノスマブ | 「一定期間」(期間の記載なし) |
| イグラチモド | 記載なし(妊娠中は禁忌) |
レフルノミド(アラバ)を使っている方へ
レフルノミドは、体の中に長く残る薬です。妊娠を希望する場合は、薬を中止したうえで、コレスチラミンという薬を飲んで体から薬を除く方法(薬物除去法)を行うことが勧められています。
- 添付文書に書かれている方法:コレスチラミンを1日3回、17日間飲みます。その後、2週間以上の間隔をあけて少なくとも2回血液検査を行い、どちらも基準値(0.02μg/mL)未満であることを確認します。基準値を超えていれば、コレスチラミンを続けます。
- 除去法を行わない場合は、安全な濃度まで下がるのに最長2年かかることがあり、その間は確実な避妊が必要です。
- 使用中に妊娠が分かった場合も、すぐにご連絡ください。海外の指針では、その場合も除去法を行うことが勧められています。
- 男性が使っている場合の扱いは、上の表をご覧ください。
避妊の方法についての注意
避妊の方法は、病気の種類や検査結果によって向き・不向きがあります。具体的な方法は、産婦人科とも相談して決めます。
- 抗リン脂質抗体が陽性の方:エストロゲン(卵胞ホルモン)を含む避妊薬(いわゆる低用量ピルなど)は、血栓(血のかたまり)ができやすくなるため使わないことが勧められています。子宮内に入れる避妊具(IUD)や、黄体ホルモンだけを含む避妊薬などが候補になります。
- SLEの病気の勢いが強い方:エストロゲンを含む避妊薬より、子宮内に入れる避妊具や黄体ホルモンだけを含む方法が勧められています。病気が落ち着いていて抗リン脂質抗体が陰性の方では、エストロゲンを含む避妊薬も選択肢になります。
- ミコフェノール酸モフェチルを使っている方:飲む避妊薬の効果を弱める可能性があるため、子宮内に入れる避妊具を使うか、2つの方法を組み合わせることが勧められています。
- 薬を飲み忘れたときや、避妊に失敗したかもしれないときは、早めに産婦人科へご相談ください。
計画して妊娠を迎えるために
- 病気が落ち着いてから妊娠を目指します。 病気の勢いが強い時期の妊娠は、病気の悪化や妊娠の合併症と関係します。
- 妊娠前に薬を見直します。 妊娠中に使えない薬は、妊娠前に使える薬へ切り替えます。切り替え後に病気が落ち着いていることを確認する期間も必要です。
- 産婦人科と連携します。 妊娠前から産婦人科の受診をお勧めすることがあります。妊娠後は、産婦人科での診療と並行して、当院でリウマチ・膠原病の状態と薬を確認します。
- 検査結果によって追加の確認が必要なことがあります。 SLEや、抗SS-A抗体・抗リン脂質抗体が陽性の方は、妊娠中に特別な管理が必要になることがあります。
- 授乳を希望する場合も、事前にご相談ください。 授乳中に使える薬で病気を抑えながら、授乳を続けられることが多くあります。
妊娠と薬について、さらに相談したい方へ
国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」は、厚生労働省の事業として、妊娠中や妊娠を希望する女性の薬の相談に応じています。全国47都道府県の拠点病院に「妊娠と薬外来」があり、授乳中の薬の相談も行っています。相談の申し込み方法は、同センターのページでご確認ください。
当院でも、主治医として薬の情報をお伝えし、必要に応じて産婦人科や専門の医療機関と連携します。
参考文献
- 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業「全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、若年性特発性関節炎(JIA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針」(2018年)
- Sammaritano LR, et al. 2020 American College of Rheumatology Guideline for the Management of Reproductive Health in Rheumatic and Musculoskeletal Diseases. Arthritis Rheumatol. 2020;72:529–556.
- Rüegg L, et al. EULAR recommendations for use of antirheumatic drugs in reproduction, pregnancy, and lactation: 2024 update. Ann Rheum Dis. 2025. DOI: 10.1016/j.ard.2025.02.023
- Russell MD, et al. British Society for Rheumatology guideline on prescribing drugs in pregnancy and breastfeeding: immunomodulatory anti-rheumatic drugs and corticosteroids. Rheumatology. 2023;62:e48–e88.(要約版:2023;62:1370–1387)
- Russell MD, et al. British Society for Rheumatology guideline on prescribing drugs in pregnancy and breastfeeding: comorbidity medications used in rheumatology practice. Rheumatology. 2023;62:e89–e104.
- 各薬の電子添文(添付文書)。2026年11月に確認。添付文書は随時改訂されます。
- 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」
- 執筆:
- 前島圭佑
- 最終確認:
本ページは一般的な医学情報です。個別の診療については主治医にご相談ください。
薬の使い方は、ご自身に説明された内容と処方内容に従ってください。