「禁止するもの」を増やすより、体の中で起こることを知って、選び方を変えてみましょう。
尿酸値が高いと言われると、「プリン体の多い食品を全部やめなければ」と思うかもしれません。好きなものを我慢する生活を想像すると、食事を見直す前から気が重くなりますよね。
でも、尿酸は食べ物に含まれるプリン体だけから作られるわけではありません。体の中でも日々作られ、腎臓や腸から体外へ出されています。尿酸値は、この「作られる」と「出ていく」のバランスに左右されます。
仕組みが少し見えてくると、食べ物の名前を暗記するよりも、何を変えればよいか考えやすくなります。このページでは、毎日の飲み物、お酒、食卓の整え方を、一緒に見直してみましょう。
1 尿酸は、食べ物だけで決まるわけではありません
尿酸は「プリン体」という物質が分解される過程で生まれます。プリン体は食べ物から入るだけでなく、私たちの体をつくる細胞の中にもあります。
できた尿酸は血液中を流れ、主に腎臓から尿へ、一部は腸を通じて体の外へ出ていきます。体の中を「尿酸が出入りする場所」として想像してみてください。入ってくる・作られる量が多くなったり、外に出ていく量が少なくなったりすると、尿酸値は高くなりやすくなります。
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つまり、尿酸値が高いことは、必ずしも「食べ過ぎた証拠」ではありません。体質や腎機能、使っている薬、体重、飲酒習慣など、さまざまな要因が関係します。血圧の薬の一部(利尿薬)や、免疫抑制薬の一部などは尿酸値を上げることがあります。お薬手帳をお持ちください。
だからこそ、食事を必要以上に制限するのではなく、自分の生活の中で調整できるところから取り組むことが大切です。
2 最初に見直したいのは、毎日の飲み物です
毎日何気なく飲んでいるものにも、見直せるところがあります。たとえば、甘い清涼飲料水や加糖の缶コーヒー、甘い紅茶などです。砂糖などに含まれる果糖は、尿酸が作られる過程にも関係します。甘い飲み物を習慣的に多く飲んでいる方は、量や回数を見直してみましょう。
ここで意識したいのは、「喉が渇いたら、何を選ぶか」です。いつも甘い飲み物を買っているなら、そのうちの一回を水や無糖のお茶に変えてみる。それだけでも、無理なく続けるための第一歩になります。
ただし、激しい運動や暑さの中で大量に汗をかくときなど、水分・電解質補給に特別な配慮が必要な状況は別です。
尿酸とは別の話になりますが、甘い飲み物が体の中でどう働くかは、体内イメージ「酸化と糖化とは?」でも紹介しています。

「果汁100%のジュースなら大丈夫?」と思う方もいるでしょう。果汁100%でも果糖などの糖分を含むため、たくさん飲む習慣があれば量や回数を見直したいところです。一方、果物をそのまま食べることと、ジュースを飲むことは同じではありません。果物まで一律に禁止する必要はなく、飲み物から糖分を多くとりすぎていないかを考えてみましょう。
3 お酒は「ビールのプリン体」だけに注目しないで
「ビールはプリン体が多いから、焼酎に替えました」という話を聞くことがあります。たしかに、お酒の種類によってプリン体の量は違います。でも、尿酸に関係するのはプリン体だけではありません。
アルコールは主に肝臓で分解されます。その過程で、体内のエネルギーに関わる物質の分解が進み、尿酸が作られやすくなります。また、特に多く飲んだときには、アルコールの代謝に伴って増える乳酸の影響で、腎臓から尿酸が出にくくなることもあります。
つまり、飲酒は「尿酸が作られる側」と「尿酸が体外に出ていく側」の両方に影響することがあるのです。
そのため、「プリン体ゼロのお酒なら、いくら飲んでも大丈夫」とは言えません。まず見直したいのは、何を飲んでいるかだけでなく、「どれくらいの量を、どのくらいの頻度で飲んでいるか」です。
たとえば、いつもの一杯を減らす。お酒を飲まない日をつくる。飲酒の代わりに無糖のお茶や水を選ぶ。飲酒が多い方は、量や頻度を減らすことを具体的な目標にしてみましょう。

4 肉も魚も、「食べてはいけないもの」ではありません
「レバーも魚も食べてはいけない」と考えると、毎日の食事が窮屈になってしまいます。食品によってプリン体の含有量は異なります。具体的には、レバーなどの内臓類、白子、イワシ・アジ・サンマなどの干物は、プリン体を多く含む代表例です。こうした食品を頻繁にたくさん食べる習慣があれば、量や回数を見直してみましょう。
肉や魚にもプリン体は含まれますが、種類や一度に食べる量によって違いがあります。
ただし、肉や魚をすべて避ければよいわけではありません。たんぱく質やその他の栄養素も、健康を保つうえで必要です。量と頻度を考えながら、主食・主菜・副菜を組み合わせて、食事全体のバランスを整えることが基本になります。
野菜や豆類なども取り入れながら、いろいろな食品を無理なく組み合わせましょう。ただし、糖尿病や腎臓病などで食事内容の指示を受けている方は、その指示を優先してください。

食事療法は「食べてはいけない食品の一覧表」を冷蔵庫に貼ることではありません。いつもの食卓を眺めて、「ここなら少し変えられそうだ」と気づくことから始まります。
5 体重と水分も、無理をせず考えましょう
体重が多めの方では、食事の量や内容、日々の活動量を見直し、時間をかけて体重を調整することも選択肢になります。急に食べる量を大幅に減らしたり、絶食に近い方法で急激に減量したりするのは避けましょう。急激な減量は、かえって尿酸値が一時的に上がったり、発作のきっかけになったりすることがあります。
また、脱水を避けることも大切です。尿路結石の予防のためにも、喉が渇いたときに水や無糖のお茶を選ぶことを基本に、季節や体調に合わせてこまめに水分をとりましょう。
ただし、「水を大量に飲めば、尿酸がどんどん流れ出て治る」というわけではありません。尿酸値の調整には、排泄の仕組みそのものが関わっています。
心不全、腎臓病などで水分量の指示を受けている方は、一般的な飲水の勧めよりも主治医の指示を優先してください。
6 外食やコンビニでも、選び方は変えられます
毎日自炊できる方ばかりではありません。会食や外食が続くこともあるでしょう。そんなときも、食事を「正解か不正解か」で採点する必要はありません。
場面1|コンビニの昼食
主食だけで済ませる日が多いなら、野菜のおかずや無糖の飲み物を組み合わせてみる。毎回理想の献立を目指す必要はありません。
場面2|外食での夕食
大盛りや何品もの追加注文が習慣になっているなら、まずは注文する量を調整してみる。食べる楽しみを全部なくすことが目的ではありません。
場面3|お酒の席
お酒の種類だけを変えて安心するのではなく、飲む量や杯数を意識してみる。お酒を飲まない選択も含め、自分に合った過ごし方を考えましょう。
7 明日からの一週間、ひとつだけ変えてみませんか
ここまで読んで、「やることがたくさんある」と思われたかもしれません。でも、全部を一度に変える必要はありません。
たとえば、次の中から一つだけ選んでみましょう。
- いつもの甘い飲み物を、一日一回だけ水や無糖のお茶に替える
- お酒を飲む量や回数を、今より少なくする
- 食事で大盛りや追加注文をする回数を減らしてみる
- 食事を抜いたり極端に減らしたりせず、無理のないペースで整える
一週間続けてみて、難しかったら方法を変えてかまいません。自分の生活に合わない方法を無理に続けるより、続けられる工夫を見つけることが大切です。
続けやすくする工夫は、体内イメージ「体にいいことが続かないのはなぜ?」でも紹介しています。
そして、次の診察や健診では、尿酸値だけでなく、生活で何を変えられたかも振り返ってみてください。
食事と薬は、それぞれに役割があります
ここでお伝えした工夫は、生活面から高尿酸血症や痛風と向き合うためのものです。食事療法だけで、すべての方の尿酸値が十分に下がるわけではありません。痛風の発作を、特定の食事法だけで防げるという十分な根拠はありません。生活習慣の見直しと、必要に応じた薬物療法は、それぞれ役割があります。
すでに尿酸を下げる薬を服用している方は、食生活を改善したことや尿酸値が下がったことだけを理由に、自己判断で薬を中止・減量しないでください。
痛風発作の症状、検査、治療、当院への受診については、別ページ「痛風・高尿酸血症」でご案内しています。
高血圧症・脂質異常症など内科の慢性疾患の診療については「高血圧症・脂質異常症などの内科診療」をご覧ください。
よくある質問
Q.プリン体ゼロのビールや焼酎なら、いくら飲んでもよいですか?
A.いいえ。プリン体だけでなく、アルコール自体も尿酸値に関係します。種類だけでなく、飲酒量と頻度も大切です。
Q.魚や肉、豆腐を食べるのもやめた方がよいですか?
A.食品を一律に禁止する必要はありません。特定の食品の食べ過ぎを避けながら、栄養のバランスを考えましょう。ほかの病気で食事制限が必要な方は個別に相談してください。
Q.果物も食べない方がよいですか?
A.果汁を飲み物としてたくさんとることと、果物を食事の一部として適量食べることは同じではありません。果物を全部避けるより、甘い飲料を頻繁に飲む習慣がないかを見直しましょう。
Q.食事を見直せば、尿酸を下げる薬はやめられますか?
A.生活改善は大切ですが、薬が必要かどうかは痛風発作の有無、尿酸値、合併症などを踏まえて判断します。自己判断で中止しないでください。
参考文献
主な参考文献
- 日本痛風・尿酸核酸学会:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]
- 公益財団法人 痛風・尿酸財団:患者向け高尿酸血症・痛風情報
関連情報
- 高血圧と言われたら血圧の見方・測り方・生活習慣・薬との付き合い方
- コレステロール・中性脂肪が高いと言われたらLDLコレステロール・中性脂肪と食事
- 高血圧症・脂質異常症などの内科診療高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などの内科慢性疾患の診療
- 執筆:
- 前島圭佑
- 最終確認:
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